公開日 2024.12.23 更新日 2025.01.23

建築積算数量の拾い方とは?手作業の注意点や効率化のポイントを解説

建築積算における数量拾いは、基本的な作業です。ただし正確性が求められる作業のため、誤りがあると後の工程に影響を与えます。

数量拾いを誤ると工事費に大きな誤差が生じるため、手作業で拾う場合は正確に進める工夫が必要です。

本記事では建築積算数量の拾い方と、手作業時の注意点や効率化のポイントを解説します。数量拾いで苦労されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

建築積算数量の拾い方(拾い出し)とは

建築積算数量の拾い出しとは、建築物の設計図から工事で必要な材料や労務の数量を算出する作業です。

設計図の解読や数量の計算、積算表への記入など、建築工事を実施するための基本作業といえます。

建築積算数量の拾い出しで押さえておくポイントは、以下の2つです。

  • 建築積算数量の計算式
  • 建築積算における所要数量

それぞれ詳しく解説します。

建築積算数量の計算式

建築積算数量の計算式は、算出したい数量の種類によって多岐にわたります。一般的に工事費を算出する際の計算式は、以下のとおりです。

工事費=数量×単価×金額

上記の計算式で、数量を算出するのが拾い出しです。基本的に建築積算数量の計算式では、以下の要素を組み合わせます。

項目 計算する要素
数量 建築物の長さ、幅、高さ、面積、体積など
単価 材料費、労務費、経費など
係数 割増係数、損失係数など

たとえばコンクリートの数量を計算する場合は、以下のようになります。

  • コンクリートの体積(m³) × コンクリートの単価(円/m³) = コンクリートの金額(円)

数量計算の基礎となる部分が、設計図面です。図面を正確に読み取り、必要な数値を誤差なく拾い出しましょう。

 

関連記事:建築業の見積書にある諸経費とは?具体的な内訳と一般的な費用相場

建築積算における所定数量

建築積算における所定数量とは、工事で実際に必要となる数量です。材料の切り捨てや施工過程でのロスなどを考慮し、設計図面の数量に一定の割増をかけたのが所定数量です。

材料を加工する際の切り捨てや施工中に発生する破損など、施工中は一定のロスが生じます。所定数量の算出は材料や施工上のロスを考慮し、材料の不足を避けるのが狙いです。

また建築積算では所定数量以外にも、「設計数量」や「計画数量」といった概念があります。

項目 

概要 

設計数量 

  • 設計図面に記載されている純粋な数量 
  • 材料のロスなどは考慮されない 

計画数量 

  • 設計図面に基づいた施工計画から算出される数量 
  • 設計数量に比べて現実的な数量 

所定数量 

  • 設計数量に割増係数を掛けて算出される数量 
  • 実際に必要な数量を正確に表す 

所定数量の一般的な計算式は、以下のとおりです。

  • 所定数量 =設計数量 × 割増係数

なお割増係数は、国土交通省「公共建築数量積算基準」を参照します。部材ごとに具体的な標準数値が規定されているので、事前に確認しておきましょう。

建築積算を手作業で数量拾いする際の注意点

建築積算を手作業で数量拾いする際の注意点は、おもに以下のとおりです。

  • 数量の拾い落としに気をつける
  • 数字の桁や計算を間違えない
  • 転用や転記ミスに気をつける
  • 図面の変更や特記事項を確認する

建築積算の数量拾いは正確性が必要なため、間違えると工事費に大きな影響を与えます。数量拾いを間違えないためにも、1つずつ詳しく見ていきましょう。

数量の拾い落としに気をつける

図面上のすべての必要な情報は、拾い漏らさないように注意しましょう。拾い漏れが出ると、工事にさまざまな悪影響が生じます

たとえば拾い漏れで材料や工数が不足すると、工事費の見積りが低くなる可能性があります。また見積りが高くなった場合は、受注が不利になる可能性もあるでしょう。

加えて人員不足などの問題も生じるため、作業が遅延し工事が間に合わない可能性も考えられます。

拾い出した数量を複数人で確認するなど、数量に誤差が出ないように工夫しましょう。

数字の桁や計算を間違えない

数字の桁や計算を間違えないことも重要です。計算間違いが原因で必要な材料が届かないと、代替品の用意などで無駄な作業が生じ工事が遅延します。

また数字の桁間違いは、取り返しのつかない事態に発展する可能性があります。手作業で拾い出しする際は、計算や桁間違いに細心の注意を払いましょう。

転用や転記ミスに気をつける

数量の転用や転記ミスにも、気をつけなければいけません。とくに文字や数字、カンマの転用や転記ミスは厳禁です。

数量の拾い漏れや重複に問題がなくても、肝心の数量が間違っていれば想定した数量と大きく乖離します。数字の単位や転記ミスは厳禁なため、二重チェックなどで対策しましょう。

図面の変更や特記事項を確認する

建築図面の変更や、特記事項がないかも注意しましょう。建築図面は変更が生じることも多く、最新の図面であるか確認しておくのが重要です。

また図面の特記事項に目を通し、数量に影響を与えるような記載がないかも確認しておきます。特記事項には、図面だけでは表現しきれない詳細事項などが記載されます。

特定メーカーの材料指定といった重要な要素が記載されることもあるため、必ず目を通しておきましょう。

積算数量の拾い出しを効率化するポイント

積算数量の拾い出しを効率化するポイントは、おもに以下の4つです。

  • 拾い出しのフォーマットを作成する
  • マーカーを活用する
  • 国土交通省の「公共建築数量積算基準」を参照する
  • 積算ソフトを導入する

それぞれ詳しく解説します。

拾い出しのフォーマットを作成する

拾い出しのフォーマットがない場合は、エクセルなどでフォーマットを作成すると効率化につながります。

フォーマットを作成する際は、拾い出すべき数量を明確に定義します。そのうえで、図面との対応性や計算のしやすさを意識するのがポイントです。

参考までに、フォーマット作成の一例を記載します。

図面番号 

部位 

数量 

単位 

計算式 

備考 

確認者 

P−1 

基礎 

〇〇 

 

長さ××厚さ 

鉄筋コンクリート 

田中 

またフォーマット作成後は設計基準や施工方法が変更になることを考慮し、定期的に見直しましょう。

マーカーを活用する

数量拾いに漏れがないよう、各項目をマーカーでチェックするのも有効です。ピンクなどの図面の色と被らず、目立ちやすい色がおすすめです。

ただしマーカーの色によっては、印刷時に色が消える場合があるため注意しましょう。イエローやオレンジなど光に近い色は、コピー機によっては色が映らない可能性があります。

国土交通省の「公共建築数量積算基準」を参照する

数量拾いの際は、国土交通省の「公共建築数量積算基準」を確認しましょう。数量の表し方や計測方法など、基準が細かく指定されているためです。

なお数量においては、小数点第3位の四捨五入が基準とされています。基本ルールに則った積算が必要なため、実際に積算をする前に読み返す習慣を身につけましょう。

積算ソフトを導入する

フォーマットがなく作成も難しい場合は、積算ソフトを導入するのがおすすめです。積算ソフトを活用すれば、複雑な計算も簡単に算出できるため、作業効率が上がります。

積算ソフトを導入する際は、自社のニーズを明確にしたうえで、機能面や操作性、コストで比較しましょう。価格が安いといった安易な理由で選ぶと、失敗する可能性があります。

仕上げ積算ソフト「Neo仕上」の特徴

仕上げ積算ソフトでおすすめなのが、弊社「株式会社アドバン」が提供する「Neo仕上」です。

「Neo仕上」のおもな特徴は、以下の3つです。

  • 作図なしで積算できる
  • 図面をなぞって拾い出しできる
  • さまざまな形式で出力できる

「Neo仕上」は売上高5億〜100億円規模の地方ゼネコン1,000社以上が導入する仕上げ積算ソフトです。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

作図なしで積算できる

「Neo仕上げ」ならPDF図面や写真画像をもとに、作図なしで積算できます。積算するための手間が大幅に削減できるため、業務効率化につながります。

また帳票の出力形式や顧客のデータ管理など、さまざまな業務フローに合わせたカスタマイズができるのも魅力です。

なお既存の業務フローへの適応はソフト側が対応するため、自社で変更する必要はありません。導入時や導入後のトラブルを防ぎ、安心して導入できます。

図面をなぞって拾い出しできる

JW-CADの図面をカーソルでなぞるだけで、簡単に積算できます。面積や周長、各辺の長さなどもカーソルをなぞるだけで拾い出せます。

手作業の拾い出しで使う三角スケールや電卓など、従来欠かせなかった道具も必要ありません。図面をカーソルでなぞれば、あとは自動計算され仕上げ積算システムと連動します。

さまざまな形式で出力できる

各部屋や各部材ごとなど、さまざまな形式で出力できるのも特徴です。根拠付きの拾い図なども出力もでき、データでの保存もできます。

なお「Neo仕上」で作成した積算データは、アドバン社の他ソフトと連携可能です。

たとえば建築見積作成ソフト「建築見積りソフトKensuke Neo」と連動すれば、積算データをもとに見積書を簡単に作成できます。

 

導入後はソフトを使いこなせるようになるまで、何回でも操作指導を受けられる点も強みです。。以前他社で積算ソフトを導入したけれど、操作が複雑で利用をやめてしまった企業様でも、安心してお使いいただけます。

積算ソフトの導入で積算数量の拾い出しを効率化しよう

建築積算数量の拾い出しは、建築物の設計図から工事で必要な材料や労務の数量を算出する基本的な作業です。

手作業で拾い出しする場合、拾い落としや計算間違いといったミスが懸念されます。ミスを防ぐためには、フォーマットの作成や積算ソフトの導入が効果的です。

仕上げ積算ソフト「Neo仕上」は住宅から大型施設まで建物を問わず、内装や外装、外構や建具の積算が簡単にできます。

使い慣れたJW-CADで寸法や面積、周長などを自動的に表示できるため、積算の効率化やミスの低減につながります。

「Neo仕上」が気になった方は、ぜひお問い合わせください。

建設業向け管理ソフトなら株式会社アドバン

 

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この記事の監修者
株式会社アドバン
田中 博幸

株式会社アドバン代表取締役社長

「建設関連ソフトを通して世の中に貢献する」がモットーです。 創業から20年以上、重要な業務である積算や見積書作成などの効率化・高精度化に貢献したいとの思いで、建設業に特化したシステムの開発に取り組んできました。
すべてのソフトで無料で使用評価をいただくことが可能であり、ほとんどのお客様に十分納得をいただいたうえで、システムを導入していただいています。