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公開日 2025.12.17 更新日 2025.12.17

建設業でDXの推進が必要な理由と導入事例を紹介!

建設業では、人手不足や長時間労働、紙中心の非効率な業務など、従来のやり方だけでは乗り越えにくい課題が山積みになっています。
こうした状況を抜本的に見直す手段として注目されているのが、BIMやクラウド、AIなどのデジタル技術を活用したDXです。

本記事では、建設業DXの必要性や国内大手ゼネコンの具体的な成功事例、中小企業が無理なく進めるためのステップや注意点までを整理し、これからDXに取り組みたい方が全体像をつかむための情報を提供します。

建設業でDXが必要な理由

建設業界でDXが重視されているのは、人手不足や長時間労働、膨大な紙業務などの課題を解消し、現場の生産性と品質を高めながら事業を持続させるためです。
また、BIMやクラウド、AIなどの技術を取り入れることで、従来のやり方では難しかった働き方改革や競争力の強化も実現しやすくなります。

本項では、多くの建設業者が抱えている課題を確認し、「なぜ建設業でDXの導入が必要なのか」を深掘りしていきます。

人手不足と技術継承の課題

建設業では職人の高齢化が進む一方で、若手の入職者が伸び悩み、人手不足と技術継承の両方が大きな課題になっています。
そのうえ、従来の紙中心の管理や口頭での引き継ぎに頼っていると、情報共有の遅れやミスが起こりやすく、限られた人員で安定した品質と工期を守ることが難しくなります。

ベテランの暗黙知に依存したままだと、退職とともに重要なノウハウが現場から失われてしまい、結果として残業や手戻りも増えてしまいます。
そこで、DXを通じて図面や工程、原価情報、また作業手順や品質基準、過去事例をデジタルデータやマニュアルとして記録・共有することで、関係者全員が同じ情報にアクセスでき、少ない人数でも効率よく現場を回せる体制をつくれます。

このような仕組みを整えることで、経験の浅いメンバーでも一定水準の仕事を再現しやすくなり、育成スピードの向上と技術力の底上げが期待できます。

生産性向上と働き方改革の重要性

生産性の向上と働き方改革は、建設業が人材を確保し続けるために欠かせないテーマです。

紙の図面確認や、二重三重の現場確認など、これまで当たり前だった非効率な作業を見直さない限り、長時間労働や休日出勤は減りません。
例えば、タブレットで図面や工程を共有したり、進捗をリアルタイムで見える化したりすることで、移動時間や待ち時間を削減しつつ、ムリ・ムダ・ムラを抑えた現場運営が可能になります。

その結果、働きやすさと生産性向上を両立できるでしょう。

建設業DXの成功事例

建設業DXの成功事例は、自社で取り組む際のイメージづくりや社内説得の材料として大きなヒントになります。
清水建設や鹿島建設などの大手各社は、配筋検査や現場管理、帳票作成といった身近な業務から段階的にデジタル化を進め、品質向上と省力化を同時に実現してきました。

ここでは、代表的な施策を取り上げ、そのポイントを紹介します。

清水建設の配筋検査効率化

清水建設は、配筋検査にタブレットと専用アプリを導入し、図面と現場写真を紐づけてその場で記録できるようにしました。
これにより、紙図面への書き込みや事務所での転記作業が不要になり、検査時間は大幅に短縮されています。

さらに、クラウド上に検査データを蓄積することで、遠隔からの確認や過去案件との比較も容易になっています。
その結果、ヒューマンエラーの抑制と技術継承の両面で高い効果を上げており、業界内での代表的なDX事例といえます。

鹿島建設の現場管理改善

鹿島建設は、現場情報をタブレットで一元管理する仕組みを構築し、図面や工程表、安全書類などをクラウド上で共有できるようにしました。

従来は、各担当者が紙資料を持ち歩いていたため、最新版の確認や差し替えに手間がかかっていましたが、常に最新データにアクセスできることで意思決定のスピードが向上しています。
また、現場ごとに異なっていた管理方法を標準化できたことで、担当者の異動時もスムーズに引き継ぎが行えるようになりました。

戸田建設の橋梁耐震補強工事

戸田建設は、橋梁耐震補強工事において、タブレットと三次元モデルを活用し、現場で設計情報と施工状況をリアルタイムで確認できる体制を整えました。
これにより、図面の読み違いや指示の行き違いが減り、手戻り作業の削減と工期短縮を同時に実現しています。

さらに、遠隔地から技術者が状況を確認し、適切な助言を行えるようになったことで、現場の安全性の向上や品質確保にもつながり、高度な施工管理の実現に大きく貢献しました。

五洋建設の帳票作成効率化

五洋建設は、作業日報や工程管理表などの帳票作成をアプリで電子化し、現場からスマートフォンやタブレットで入力できる仕組みを導入しました。
これまでは手書きやパソコンへの再入力に時間がかかり、記入漏れや誤記が課題として挙げられていましたが、テンプレート化されたフォームを使うことで入力負荷とミスが大幅に軽減されています。

データは自動で集計・共有されるため、事務作業の削減だけでなく、リアルタイムな進捗把握にも役立つ取り組みです。

DX推進のためのデジタル技術

建設業のDXを進めるうえでは、BIM/CIMやクラウド、5G、AI・IoTといったデジタル技術をどの業務にどう組み込むかを考えることが重要です。
これらの技術は、単体で使うだけでなく組み合わせることで、現場の生産性の向上や安全性の強化、品質向上に大きな効果を発揮します。

以下で、それぞれの特徴と活用ポイントを見ていきましょう。

BIM/CIMによる施工管理の高度化

BIMやCIMは、建物や構造物の情報を三次元モデルとして一元管理し、設計から施工、維持管理まで活用できる仕組みです。
従来の二次元図面ではイメージしにくかった干渉や施工手順も、三次元で確認することで事前に把握しやすくなります。

また、設計変更があってもモデル上で反映すれば関連情報も自動的に更新されるため、情報の行き違いや手戻りを減らせます
関係者全員が同じモデルを共有することで、コミュニケーションの質が高まることにも期待できます。

クラウド活用で情報共有を促進

クラウドとは、図面や写真、工程表などのデータをインターネット上で安全に保管し、場所や端末を問わず共有できる基盤のことです。
現場や本社、協力会社が同じ情報にアクセスできるようになることで、「どの資料が最新か分からない」といった混乱を防げます。

大手ゼネコンの多くは、クラウドを通じて進捗や安全情報をリアルタイムに共有し、判断スピードの向上につなげています。
大手企業に限らず、中小企業でも手頃なサービスから段階的に始めやすい点が魅力です。

5G通信でリアルタイム管理を実現

5G通信は、高速かつ大容量、低遅延という特徴を持ち、建設現場のリアルタイム管理を支える重要なインフラです。
高画質カメラやドローンから送られる映像をほぼ遅延なく共有できるため、離れた場所からでも現場の状況を正確に把握できます。

また、5G通信を活用することで、重機やセンサーからのデータも即時に収集できるため、危険箇所の早期発見や作業手順の最適化にも役立ちます。
これにより、安全性と生産性を両立した現場運営が可能になります。

AI・IoTで業務効率化を図る

AIとIoTを組み合わせることで、建設現場の状況をデータで可視化し、最適な意思決定につなげられます。

IoTセンサーで重機の稼働状況や作業員の位置、資材の在庫を収集し、そのデータをAIが分析することで、遅れの原因や危険な動きの傾向を早期に把握できます。
また、画像認識技術を使えば、安全装備の未着用や立入禁止エリアへの侵入などを自動検知することも可能です。

こうした技術を導入することで、人手不足の中でも安全で効率的な現場づくりを実現できます。

中小建設業者がDXを進めるステップ

中小建設業者がDXを進めるには、大手企業と同じことを一度に真似するのではなく、自社の規模や課題に合ったステップで取り組むことが重要です。
現状把握から目標設定、予算と人材の確保、システム導入と教育、テスト運用と改善という流れを押さえることで、無理なく着実にデジタル化を進められます。

以下で各段階のポイントを紹介します。

現状分析と目標設定

最初のステップは、自社の業務フローや課題を整理し、「DXで何を改善したいのか」を明確にすることです。

例えば、「紙の書類が多く、探すのに時間がかかる」「現場と本社で情報がずれる」といった具体的な困りごとを書き出し、優先順位をつけて整理します。
そのうえで、「半年以内に日報を電子化する」「1年で図面共有をクラウドに切り替える」など、達成時期と指標を伴う目標を設定すると、方針の共有や取り組みの評価もしやすくなります。

予算と人材の適切な配分

次に、限られた予算と人材をどこに集中させるのかを検討します。
いきなり高機能なシステムを導入するのではなく、効果が見込める業務から小さく始めることが現実的です。

まずは、無料または低コストのクラウドストレージやチャットツールを試し、その後に専門的な現場管理システムを検討するといった段階的な導入が有効です。
また、ITに強い担当者を決めたり、外部の専門家にスポットで相談したりすることで、従来では難しかった部分も補うことができるでしょう。

システム導入と社内教育

システム導入の際は、機能の多さよりも現場で使い続けられるかどうかを重視することが大切です。
画面が複雑すぎたり、入力項目が多すぎたりすると、「忙しくて触る余裕がない」と敬遠されてしまいます。
そのため、実際に使う現場メンバーにもデモや試用に参加してもらい、操作感を確認しながら選定するとよいでしょう。

導入後は、基本操作を丁寧にレクチャーする研修や動画マニュアルを用意するほか、分からない点をすぐに確認できる相談窓口を設けることで、定着しやすい環境を整えられます。

テスト運用と継続的な改善

新しいシステムやツールは、いきなり全社展開するのではなく、まずは一部の現場や限定した業務でテスト運用するのがおすすめです。

実際に使ってみると、「入力項目が多すぎる」「この画面は現場では見にくい」などの課題が浮かび上がってくるため、こうした現場の声を集めながら設定や運用ルールを調整しましょう。
そのうえで、改善内容を反映したかたちでもう一度試し、問題が減ってきた段階で本格展開に進むと、現場の負担を抑えながらDXを定着させやすくなります。

DXの導入でどのような効果が期待できるか

DX導入の効果としては、生産性向上・働き方改革・安全性向上の三つが大きな柱になります。

図面や日報、工程表をデジタル化し、クラウドで共有することで、情報探しの時間や二重入力を減らせるため、現場の手間が確実に減ります
また、遠隔での打ち合わせや進捗確認が可能になれば、移動時間の削減や残業時間の抑制にもつながるでしょう。

さらに、センサーや映像を使った安全管理を組み合わせることで、事故リスクを減らしながら品質を高めることができます。

初めてDXを導入する際の注意点

初めてDXに取り組む際は、「完璧な仕組みを一気に作ろう」と考えすぎないことが大切です。
大規模なシステムを一度に導入すると、現場の負担が増え、結局使われなくなるリスクがあります。

まずは、現場の困りごとが大きい業務に絞り、シンプルなツールから試してみましょう。
そのうえで、使いにくい点や追加したい機能を現場からヒアリングしながら、少しずつ改善していくことをおすすめします。

こうした小さな成功体験を積み重ねることで、社内の理解と協力も得やすくなります。

DX推進における人材育成の重要性

DX推進では、システムの導入と同様に、「人」をどう育てるかが成功のカギを握ります。

新しいツールに苦手意識を持つ作業員も多いため、基礎からわかりやすく学べる研修や、実務に即したハンズオン教育を用意することが重要です。
また、若手とベテランがペアになって学び合う体制をつくると、技術と現場経験の両方を活かしたチームづくりにつながるでしょう。

さらに、DXをけん引するリーダーを明確にし、挑戦を評価する風土を育てることで、継続的な変革が進みやすくなります。

まとめ:建設業のDX事例から学ぶ成功の秘訣と注意点

建設業DXは、人手不足や長時間労働、紙業務の多さといった構造的な課題を解消し、現場の生産性と安全性を高めるための重要な取り組みです。
本記事で紹介した、大手各社の配筋検査や現場管理、帳票作成など、身近な業務から始めた成功事例を参考にしつつ、BIM/CIMやクラウド、5G、AI・IoTなどの技術をどう組み合わせれば効果が出やすいのかを検討しましょう。

また、現状分析や目標設定、予算配分、テスト運用などを通じて段階的にDXを進めて、自社の課題に合った小さな一歩から取り組むことが、継続的な改善と競争力の強化につながります。

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この記事の監修者
株式会社アドバン
田中 博幸

株式会社アドバン代表取締役社長

「建設関連ソフトを通して世の中に貢献する」がモットーです。 創業から20年以上、重要な業務である積算や見積書作成などの効率化・高精度化に貢献したいとの思いで、建設業に特化したシステムの開発に取り組んできました。
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