建築・建設業の作業日報はエクセルで作れる!書き方や運用のポイントも紹介
作業日報とは、建設現場で働く作業員が、日々の作業内容や進捗を報告するための書類です。作業日時や天気、当日の作業内容を記入し、管理職に提出します。適切に運用できれば、生産性の向上やトラブルの防止、人件費の最適化などのメリットが得られます。
しかし、作業日報の作り方や導入方法が分からず困っている方も多いのではないでしょうか。この記事では、作業日報の概要や書き方、導入時のポイントなどを紹介しています。現場の管理業務を効率化したい方は、ぜひ参考にしてください。
作業日報とは?
建築・建設業における作業日報とは、作業員や現場監督が日々の作業内容や進捗状況を記録する書類のことです。下記のような内容を記録し、現場の状況や作業員ごとのモチベーションを把握するために使われます。
- 作業現場の名称や住所
- 作業員の人数や担当業務
- 当日の作業内容や進捗状況
- 使用した資材や機械の状況
- 特記事項や問題点
作業日報を適切に作れれば、現場の効率的な運営やトラブル防止、進捗管理の精度向上など、さまざまなメリットがあります。クライアントとの情報共有ツールの役割を持ち、適宜共有することで作業進捗のスムーズな共有が可能です。
また、安全管理ツールとしても用いられ、作業の漏れや事故などの防止に役立ちます。建築・建設業はトラブルが起こりやすい業界であるため、円滑に作業を進めるためには、作業日報の適切な活用が求められます。
建築・建設業における作業日報の役割
建築・建設業における作業日報には、下記4つの役割があります。
- 情報共有
- 生産性の向上
- トラブルの防止
- スケジュール管理
プロジェクトの生産性を向上させるには、作業日報の活用が欠かせないため、必ず役割を理解しておきましょう。それぞれ詳しく解説していきます。
情報共有
作業日報は、下記のような情報共有を円滑にします。
- 現場監督の全体の状況把握
- 社内の管理職の情報共有
- クライアントへの進捗報告や作業内容共有
作業員1人1人に作業日報を書いてもらえば、責任者が全体の状況を一元管理できます。スケジュールの遅れや人員不足を把握しやすくなるため、プロジェクトの進捗を正常に保つことが可能です。
管理職など、現場に出ないスタッフへの情報共有もスムーズになります。作業内容や必要な資材に急な変更があった場合でも、共有の漏れが防止できます。
また、クライアントに作業日報を提出すれば、進捗や作業内容の共有を効率化も可能です。加えてやりとりの記録を書面に残すことにもつながるので、トラブルが起きた際の信頼性の高いデータとして機能します。
生産性の向上
作業日報を使えば、管理職が作業全体を俯瞰して確認できます。状況を把握しやすくなり、無駄な作業を排除する、セクションごとの人員を最適化するなど、日単位で現場を調整できるようになります。
ボトルネックが明確化するため、生産性向上に直結する動きを取りやすくなります。作業員ごとに詳細まで記入する意識を持たせ、管理職の確認を徹底すれば、スケジュールの遅れや利益率の低下を防ぐことが可能です。
トラブルの防止
建築・建設業は、トラブルが起こりやすい業界です。要因は作業員の注意不足や自然災害など、さまざまです。しかし有事の際にも、クライアントから定められている納期を遅らせることはできません。
そのため、トラブルが起きたら適切に状況を把握し、速やかに作業を再開する必要があります。その際、作業日報に詳細な記録を残しておけば、事故の原因究明がスピーディーに行え、対応が容易になります。
また、怪我などで欠員が出た場合の引き継ぎもスムーズです。作業日報を活用すれば、現場が滞るリスクを最小限に抑えられます。
スケジュール管理
作業日報に当日の進捗や作業内容を記入すれば、スケジュールを管理しやすくなります。作業の遅れを早期発見できるため、余裕を持った軌道修正が可能です。
納期の遅延は、企業の信用に関わる重大な問題です。作業日報で管理すれば、スケジュールと進捗が乖離するリスクを抑えられ、クライアントとのトラブルも起こりづらくなるでしょう。
人件費の最適化
作業日報を分析すれば、セクションごとの生産性を把握できます。人手の過不足が明確になり、人員の最適化が可能です。作業日報の内容を確認し、最適な人員配置を行うことで、無駄なコストを削減可能です。
また人員不足を放置すると、作業員にかかる負担が大きくなります。モチベーションの低下や、疲労により集中力が低下し、事故が起こりやすくなるため注意が必要です。日報を通じてこまめに状況を把握し、常に適正な人数で作業できる体制を作りましょう。
人材管理
作業内容を確認することで、管理職が作業員ごとの成果を把握できます。人材育成や評価がしやすくなり、モチベーションの向上につながります。
また作業員ごとの特性を見極められるため、人材配置の最適化も可能です。生産性が向上する、離職率が低下するなど、さまざまなメリットが得られます。
関連記事:建設業における労務費とは?計算方法や人件費との違いを解説
建築・建設業の作業日報に必要な項目と書き方の例
作業日報を正確に記録するためには、以下の項目を含めることが重要です。項目ごとの具体的な書き方を表にまとめました。
項目名 | 内容と書き方 |
現場名・住所 | 作業を行った現場の名称と所在地を記載。 (例:〇〇建設工事現場(東京都新宿区)) |
作業日 | 日付を年月日と曜日で記載。 (例:2024年11月17日) |
作業員名・人数 | 当日の作業員の人数や各自の役割を記載。 (例:作業員10名(大工3名、配管工2名、ほか5名)」) |
作業内容 | 実施した作業内容を簡潔かつ具体的に記載。 (例:「1階の型枠設置完了」「資材搬入(木材5m³)」) |
使用資材・機械 | 使用した資材や機械、数量を明確に記載。 (例:「クレーン車(1台稼働)」「コンクリート打設材10m³使用」) |
進捗状況 | 作業計画と比較しての進捗状況を記載。 (例:「当初計画の80%完了」「予定より1日遅延」) |
天候・気温 | 現場の作業状況に影響する天候や気温を記載。 (例:「晴れ・気温25℃」「午後から雨」) |
特記事項 | 作業中の問題点や注意点、事故などを記載。 (例:「足場の不具合を発見、修正済み」「搬入車両の到着遅れ」) |
管理者確認欄 | 内容の確認後に管理者やリーダーが証拠としてサインを記入 |
作業日報を導入しても、項目が足りていない、記入が甘いなど不備があれば、本来のメリットが得られません。適切なテンプレートを作成し、作業員ごとに記入の意識付けを徹底すれば、情報共有や管理精度が向上するでしょう。
作業日報を導入する際の3つのポイント
作業日報を効果的に活用するためには、下記3つのポイントを抑えた導入と運用が重要です。
- フォーマットを統一する
- 管理フローを構築する
- フィードバック体制を作る
それぞれ詳しく解説します。
フォーマットを統一する
フォーマットが現場ごとに異なると、情報の一貫性が失われ、管理が煩雑になります。正確な人事評価もできなくなるため、社内で使う作業日報は、項目と記入方法を必ず統一しましょう。
なおフォーマットの作成には、エクセルや専用の管理ソフトの使用がおすすめです。カスタマイズ性が高く、操作性に優れているため、管理作業や集計作業も効率化できます。
管理フローを構築する
管理フローを明確にすることで、作業日報の運用精度が向上します。
一般的な管理フローは下記のとおりです。
- 記録
- 確認
- 提出
- 保管
たとえば、作業終了後に記録を完了し、翌日の朝までに提出するルールを設定するなど、現場全体で統一した運用ルールを設けます。また、エクセルで管理の仕組みを作ったり、専用のソフトウェアを導入すると、管理者と管理しやすくなるためおすすめです。
フィードバック体制を作る
作業日報は、流れ作業と化すと運用する意味がなくなります。そのため管理職が必ず内容を確認し、現場にフィードバックする体制を構築しましょう。
たとえば、「トラブルが発生した」という報告があった場合、具体的な内容や解決策を全体に共有すれば、同じミスを防止できます。ポジティブな振り返りが書いてあった際には、ねぎらいの言葉をかけるようにすると、作業員のモチベーションを向上させられます。
また、作業員ごとに定期的な振り返りを行うことも大切です。「上席が内容をきちんと確認してくれている」という意識が生まれれば、作業日報の質も上がっていきます。
建築・建設業で作業日報を作る方法
建築・建設業で一般的な作業日報の作成方法は、下記2つの方法です。
- エクセル
- 専用の管理ソフト
自社の要望や予算に合う方法で作業日報を導入すれば、負担なく運用を始められます。それぞれ詳しく解説します。
エクセル
エクセルを使った作業日報は、カスタマイズ性が高く、導入コストが低いのが特徴です。一方で、運用面での課題も存在します。メリットとデメリットを表にまとめました。
メリット |
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デメリット |
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エクセルは汎用性の高い表計算ソフトです。ほかの用途で導入しているケースも多く、自社が該当すれば、追加費用なしで導入できます。学校などでも使われるため、操作方法を研修しなくてもスムーズに導入できることが多いです。
しかしエクセルは手入力であり、保存もデバイスに依存することから、情報共有が難しく、入力ミスも発生しやすいです。関数やVBAを使えば、運用を効率化することもできますが、一定の知識が求められます。
またエクセルを使った作業日報は、プロジェクトの規模が大きくなるほど管理が難しくなります。自社が携わる現場の規模によっては、管理ソフトの導入を検討しましょう。
専用の管理ソフト
建築・建設業の業務管理ソフトには、作業日報の作成に対応しているものがあります。業界特有の慣習や必要項目にデフォルトで対応しているため、導入すれば簡単に精度の高い作業日報を作成できます。メリットとデメリットを表にまとめました。
メリット |
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デメリット |
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専用の管理ソフトには、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。導入に手間がかからず、リアルタイムで情報共有が行えることから、クラウド型がおすすめです。現場と社内でのコミュニケーションが取りやすくなるため、運用が効率化できます。
ただし管理ソフトはエクセルと違い、社員の大半が初めて触れるツールです。価格も高額になることが多いため、小規模なプロジェクトではコスト以上の効果を得られない可能性もあります。
また導入時に操作研修が必要になる、操作に慣れるまで運用が不安定になるなど、導入費用以外のコストも発生します。導入前に費用対効果のシミュレーションを繰り返し、採算が取れるか確認しましょう。
無料で使えるエクセル用の作業日報のテンプレート
建築・建設業に特化した、エクセル用無料テンプレートです。
作業日報 テンプレート 建設業 向け(エクセル・ナンバーズ)|雛形ジャーナル
クライアント名や現場名が分かりやすく記載されているため、現場ごとの管理がしやすい構成になっています。作業日時や天気の記入欄も設けられているため、当日の作業状況を簡潔に把握できます。
また、作業内容をかかった時間と合わせて小分けして記載できる点もポイントです。成果を細分化して確認できるため、人事評価もしやすくなります。
管理職が受領印を押す項目もあり、有事の際に責任の所在も把握しやすいです。作業員個人単位はもちろん、チームの日報としても活用できるでしょう。
建築業向けの作業日報ソフトなら「ネオ日報」
株式会社アドバンの「ネオ日報」は、建設業に特化した作業日報ソフトです。建設業専用の日報ソフトのため、日報の記録だけでなく、さまざまな便利機能が搭載されている点が特徴です。
たとえば、日報の入力によって勤怠集計表のほか、終始決定報告書や業者からの指定請求書が自動作成され、手動で出力する手間が省けます。
また、操作性にもこだわっており、誰でも簡単にストレスなく入力できる設計です。1つのソフトで完結するため、日報用のファイルを作成したり、日報用の冊子を用意したりする必要がありません。
導入後は使いこなせるまで追加料金なしで操作指導を受けられるため、日報の管理を効率化したい方はぜひお問い合わせください。
作業日報を活用して現場の状況を正確に把握しよう!
建築・建設業界では、作業日報は欠かせないツールです。導入すると現場の状況を正確に把握できるようになり、管理やトラブルの対応が効率化できます。現場とバックオフィスの情報共有が円滑になることから、現場の生産性向上に大きく寄与します。
また、正当な人事評価を行うためにも、作業日報は重要です。作業員ごとの行動を把握しやすくなるため、モチベーションの向上が図れます。
しかし運用の際は適切な管理フローを構築しないと、作業日報のメリットが得られません。そのため、フォーマットを統一する、管理職がフィードバックする体制を作るなど、導入前に準備をすることが大切です。
作り方に迷っている方は、専用の管理ソフトを使えば効率的に作業日報を運用できます。この記事を参考に、自社に合う方法で作業日報を導入しましょう。
【アドバンが提供するサービス一覧】
- 建築見積ソフト「Kensuke Neo」
- 仕上積算ソフト「Neo仕上」
- 工事原価計算ソフト「Neo原価」
- RC躯体積算ソフト「松助くん」
- 作業日報管理ソフト「Neo日報」
- ワークフロー管理ソフト「ネオ ワーク」
株式会社アドバン代表取締役社長
「建設関連ソフトを通して世の中に貢献する」がモットーです。
創業から20年以上、重要な業務である積算や見積書作成などの効率化・高精度化に貢献したいとの思いで、建設業に特化したシステムの開発に取り組んできました。
すべてのソフトで無料で使用評価をいただくことが可能であり、ほとんどのお客様に十分納得をいただいたうえで、システムを導入していただいています。