公開日 2024.06.26 更新日 2024.07.09

建築見積の複合単価と見積書の作成手段、記載方法について

「建築の見積で用いられる複合単価ってどのようなもの?」「見積書の作成手段や記載方法を教えて欲しい」などと考えていませんか。詳細がわからず悩んでいる方は多いでしょう。複合単価は材料費などを予め含んでいる単価です。見積書はエクセルや建築見積ソフトを利用して作成できます。

 

ここでは、建築業の見積で用いられる複合単価方式、原価公開方式について解説するとともに、見積書の作成手段、記載方法などを紹介しています。見積でお困りの方は参考にしてください。

建築業における見積方式の種類について

建築業の見積方式は以下の2つに分かれます。

  • 複合単価方式
  • 原価公開方式

それぞれの特徴は次のとおりです。

複合単価方式

複合単価方式は、工事の単価に複合単価を採用する方式です。複合単価は、さまざまな費用があらかじめ含まれている単価といえるでしょう。具体的には、材料費や労務費、その他経費を含みます。

建築業の見積は、明細が増えて複雑になるケースが少なくありません。単価に材料費や労務費などを含む複合単価であれば見積書を単純化できます。したがって、見積書をわかりやすくしたいときや十分な見積期間をとれないときなどに用いられています。

原価公開方式

原価公開方式は、コストに関わる情報を開示する方式です。主な特徴は、建築にかかるコストを正確に把握できることといえるでしょう。したがって、予算オーバーなどのトラブルを防ぎやすくなります。

また、事業者が必要以上の値下げを求められることも基本的にありません。プロジェクトに関わる事業者のリスクを抑えやすい方式です。ただし、名称の通り原価を公開することになります。この点を慎重に評価する必要があります。

複合単価方式のメリットとデメリット

複合単価方式には、メリットとデメリットがあります。押さえておきたいポイントを解説します。

メリット

単価にさまざまな費用を含むため、全体の価格を調整しやすい傾向があります。予算を管理しやすい点、見積を比較しやすい点は魅力です。また、前述の通り、見積の簡素化も図れます。単価に材料費や労務費などを含むため、見積の明細が増えることを抑えられるためです。

 

見積の中に、万が一に備えた費用を組み込める点も複合単価方式のメリットとしてあげられます。ここいう万が一に備えた費用は、発生すると自社が負担しなければならない費用です。たとえば、資材価格や労務費の上昇などが考えられます。

デメリット

さまざまな費用を含むため、単価が割高になる恐れがあります。たとえば、何かしらの理由で特定の費用が高いと、単価が上昇してしまいます。全体の費用を把握しやすくなる一方で、内訳がわかりにくくなる点にも注意が必要です。金額について納得を得られないことも考えられます。単価の妥当性を見極めたい場合は、エビデンスをもとに複合単価を材料費、労務費などに分解して評価する必要があります。

 

ひと手間かかる点も注意しておきたいポイントです。また、条件によっては、単価の設定が難しいことも考えられます。複雑な工事には、あまり向いていない方式といえるでしょう。

原価公開方式のメリットとデメリット

原価公開方式にもメリットとデメリットがあります。押さえておきたいポイントは次のとおりです。

メリット

原価公開方式のメリットとして、価格に対する信頼性が増すことがあげられます。材料費、労務費など、何にいくらかかるかが明らかになるためです。利害関係者は意思決定を下しやすくなるでしょう。コストの透明性が高まるため、事業者が過剰な値下げを求められない点も魅力です。大きな損失を避けやすくなります。

デメリット

一般的に、原価公開方式は見積作成に手間と時間がかかると考えられています。ひとつひとつのコストについて「なぜその価格になったのか」を検討しなければならないためです。不明瞭なコストを組み込むことは原則としてできません。価格交渉の余地が少ない点にも注意が必要です。

 

また、原価を共有するため、大きな利益を得ることは難しくなります。利害関係者にとって、フェアな方式といえるかもしれません。もちろん、原価を公開する点にも注意が必要です。機密情報が外部へ漏れる恐れがあります。したがって、原価公開方式を敬遠する事業者も存在します。

建築業における見積書の作成方法

建築業における見積方式は以上のとおりです。実際の見積書は、どのように作成するのでしょうか。一般的な見積書の構成は次のとおりです。

  • 表紙
  • 内訳書
  • 条件書

ここでは、これらについて解説します。

表紙

表紙は見積書の1ページ目です。最初に目につくページと考えればよいでしょう。したがって、表紙には見積の概要を記載します。基本的な記載内容は以下のとおりです。

  • 見積書の作成日
  • 発注者の名称
  • 見積金額
  • 工事事業者名

見積金額は、税込または税抜を明記しておくことが大切です。また、改ざんを防ぐため、末尾に「-」を記載しておきましょう。これらに加え、工事名、工事場所、工期(納期)、見積有効期限、法定福利費、支払条件なども記載します。法定福利費は、社会保険料のうち事業者負担分です。具体的には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険などが該当します。

内訳書

内訳書には見積の明細を記載します。見積金額だけでは、何にどれくらいのコストがかかっているかわからないためです。見積金額に信頼性を与える大切なパートといえるでしょう。内訳書に記載する一般的な内容は次のとおりです。

  • 項目の名称:工事部品・部品名などを記載
  • 摘要:部品の型番などを記載
  • 数量:項目ごとの数量を記載
  • 単位:個、期間など数量の単位を記載
  • 単価:項目1単位あたりの価格を記載
  • 金額:項目の合計金額を記載
  • 備考:項目について補足したい情報を記載

工事の規模によっては、内訳書が100ページを超えることもあります。とはいえ、不明瞭な点があると安心して発注できません。抜けや漏れがないように、丁寧に作成することが大切です。

条件書

条件書は、工事の条件を記載するパートです。主な役割は、受注者と発注者の認識を擦り合わせてトラブルを防ぐことといえるでしょう。記載する一般的な内容は次のとおりです。

  • 工事内容
  • 工事着手時期
  • 工事完成時期
  • 見積有効期限
  • 支払い条件
  • その他

工事内容は以下の8項目で構成されます。

  • 工事名称
  • 施工場所
  • 設計図書(数量等を含む)
  • 下請工事の責任施行範囲
  • 下請工事の行程及び下請工事を含む工事の全体工程
  • 見積条件及び他工種との関係部位、特殊部分に関する事項
  • 施工環境、施工制約に関する事項
  • 材料費、産業廃棄物処理等に係る元請下請間の費用負担区分に関する事項

以上に加え、契約に関する紛争の解決方法など、建設業法第19条に記載されている内容を記載することが一般的です。

出典:e-GOV法令検索「昭和二十四年法律第百号 建設業法」

 

関連記事:建設工事の見積書の書き方を解説!概要や内訳・必要な項目を紹介

見積内訳書の確認方法

内訳書に記載されている工事費は、労務費、材料費、経費に大別できます。ここでは、これらの費用について解説します。

労務費

労務費は、建築現場で直接工事に関わる労働者へ支払われる賃金や手当などです。労務費は以下の計算式で算出します。

  • 労務費=所要人数(作業量×作業の歩掛)×労務単価(基本日額+割増賃金)

歩掛(ぶがかり)は作業の手間を数値化したものといえるでしょう。歩掛の単位は人工(にんく)、1人工は1人の作業員が8時間で行える作業量です。したがって、作業時間をもとに、次の計算式から各作業の人工を算出できます。

  • 人工=(1人×作業時間)÷8

たとえば、作業員1人で2時間かかる作業であれば0.25人工((1人×2時間)÷8)です。具体的な歩掛は、職人の熟練度や条件などで異なります。歩掛の設定に悩む場合は、国土交通省が発表している「公共建築工事標準単価積算基準」を参考にできます。

労務費の特徴は、需給バランスにより変動することです。労働者が不足すると高くなる傾向があります。相場をもとに、妥当性を評価することが大切です。

材料費

材料費は、工事で必要になる資材の費用です。主資材と副資材にかかる費用に加え、これらの運搬にかかる費用も含みます。詳細はケースで異なりますが、木材、金物、接着剤、運搬費などが材料費に含まれるといえるでしょう。

 

材料費もさまざまな要因で変動します。たとえば、資材の需要が高まり価格が高騰することもあります。したがって、市場価格をもとに妥当性を評価することが大切です。資材の市場価格は、業界誌などで調べられます。

経費

経費は、工事に関わる費用から労務費と材料費を除いた費用です。たとえば、監督と作業員が連絡をとるためにかかった通信費、工事で使用する機器の燃料費などがあげられます。経費の内訳は、工事内容で大きく異なるといえるでしょう。妥当性の評価には、工事内容の確認が欠かせません。また、工事内容を理解できる一定の専門性も求められます。

 

不明瞭な点が多いと感じるかもしれませんが、他の業界で見積書に経費が明記されることはほとんどありません。このことは、店頭で販売されている日用品や家電などを考えればわかります。経費を記載している建築業界の見積書は、透明性が高いと考えることもできます。

 

関連記事:建築業の見積書にある諸経費とは?具体的な内訳と一般的な費用相場

見積書の作成手段

見積書の作成手段は大きく以下の2つに分かれます。

  • エクセル
  • 建築見積ソフト

それぞれの特徴を解説します。

エクセル

エクセルは、マイクロソフト社が販売している表計算ソフトです。エクセルの主なメリットは、導入に大きなコストがかからないことと既に操作に慣れている従業員が多いことです。また、専門的な知識があれば、関数などを活用して、自社オリジナルの見積書を作成することもできます。専門的な知識がない場合は、テンプレートを活用するとよいでしょう。

 

ただし、手入力を基本とするため、入力ミスや計算ミスなどのヒューマンエラーが生じやすいといえます。また、専門的な知識を用いてオリジナルの見積書を作成すると、見積業務が属人化して非効率になってしまうこともあります。複数人での管理に向いていない点にも注意が必要です。手軽に利用できますが、効率性や正確性は建築見積ソフトに劣る傾向があります。

建築見積ソフト

建築見積ソフトは、建築業を対象とする見積ソフトです。具体的な機能は製品で異なりますが、見積業務の効率化をサポートする機能を搭載している点は共通しています。たとえば、積算結果を取り込めたり、過去のデータをもとに見積書を作成できたりします。また、複数のスタッフで見積業務を分担できるものも少なくありません。ヒューマンエラーの防止や業務負担の軽減を期待できます。

 

ただし、導入には一定の費用がかかります。また、初めて導入する場合は、操作に慣れる必要もあるでしょう。エクセルに比べて、導入のハードルはやや高いといえます。とはいえ、建築見積ソフトの中には、エクセルのように扱えるものや回数無制限で操作指導を行っているものなどがあります。製品によっては、手軽に導入できます。

 

関連記事:建築業の見積作成に活用できるフリーソフト3選と有料ソフト3選

見積書を作成する際のポイント

続いて、見積書の作成で気をつけたい点を解説します。

内訳は階層を意識して作成する

内訳の階層を意識すると、見積書がわかりやすくなります。ここでいう階層は、内訳のカテゴリと考えればよいでしょう。具体的には、作業①の下層に作業a、作業b、作業cを配置するように作成します。一例を示すと以下のとおりです。

名称 摘要 数量 単位 単価 金額
作業①
-作業a
-作業b
-作業c
作業②
-作業d
-作業e

各作業の関連性を把握できるため、階層を設けず記載するより理解しやすくなるはずです。見積書のわかりやすさは、納得感や信頼感につながります。

管理のしやすい見積書を作成する

見積書の管理について考えることも大切です。意識することは少ないですが、見積書の作成にもコストはかかっています。好きなだけ時間と手間をかけられるわけではありません。コストがかかり過ぎている場合は、管理する方法を見直して削減する必要があります。

 

具体的な対策としてあげられるのが、エクセルのテンプレートを活用することです。ただし、テンプレートを活用しても手入力などが必要になるため業務効率は大きく改善できません。業務効率を大きく改善したい場合は、建築業向けに設計された建築見積ソフトの導入がおすすめです。さまざまな機能を搭載しているため、見積書の管理が簡単になります。

計算式に誤りがないか確認する

見積書を提出する前に、計算式の誤りをチェックしておくことも欠かせません。単価や数量などに誤りがあると、実際の見積金額より高くなったり安くなったりするためです。信頼を失うことや利益を得られないことが考えられます。

 

また、見積書の訂正にも手間がかかります。お詫びの連絡を入れてから、正しい見積書を提出しなければなりません。タイミングによっては、取引先にも迷惑をかけるでしょう。ちなみに、計算式の誤りは、建築見積ソフトを導入すると防ぎやすくなります。さまざまな影響が考えられるため、計算式に注意して見積書を作成することが大切です。

簡単建築見積ソフトなら「Kensuke Neo」

建築見積りソフトKensuke Neo

見積書の作成でお困りの方は、建築見積ソフト「Kensuke Neo」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。「建築見積りソフトKensuke Neo」は、エクセル感覚で操作できる建築見積ソフトです。工事の規模や種別にかかわらず、誰でも簡単に見積を作成できます。7階層まで内訳を作成できる点や同一物件の見積を複数人で入力できる点も見逃せません。

 

また、仕上積算ソフト「NEO仕上」と連携して、JW_CADからデータを取り込むことなどもできます。操作がわからない場合は、何度でも無料で操作指導を受けられます。「困った」をすぐに解決できるリモートサポートを行っている点もポイントです。導入により、見積のミスを解消したり、業務負担を軽減したりできるでしょう。

建築見積ソフト「Kensuke Neo」の導入事例

建築見積ソフト「Kensuke Neo」を導入した事業者は、どのような感想を抱いているのでしょうか。ここからは「Kensuke Neo」の導入事例を紹介します。

株式会社山上組様の導入事例

株式会社山上組様の導入事例

株式会社山上組は、奈良県警察署整備工事、奈良国道事務所庁舎新築工事などの実績がある事業者です。積算見積に時間がかかり過ぎていることと限られた従業員しか対応できないことに悩んでいました。

これらの課題を解決するため導入したのが「Kensuke Neo」です。導入後、手作業に比べ作業効率が5~10倍になったと評価しています。また、操作が簡単な点とアフターサービスが充実している点にも満足しているそうです。

株式会社山上組様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

株式会社ナカシロ様の導入事例

株式会社ナカシロ様の導入事例

株式会社ナカシロは、愛知県名古屋市を中心に建築工事、リニューアル工事などを手掛けている事業者です。積算見積業務に時間がかかりすぎると感じていました。

そこで検討したのが手作業なしで積算見積業務を行えるソフトの導入です。無料試用で「Kensuke Neo」を導入したところ、指導を受けなくても操作を覚えられることがわかりました。この点が、正式導入の決め手です。現在は、建築部員全員が操作できる体制を目指しています。

株式会社ナカシロ様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

石坂建設株式会社様の導入事例

石坂建設株式会社様の導入事例

石坂建設株式会社は、富山県を中心に建物の設計、施工、メンテナンスなどを展開いています。積算見積業務の負担が大きく、他の業務に支障がでていることに悩んでいました。

業務を効率化するため導入したのが「Kensuke Neo」です。導入後、手作業に比べ、5倍程度、業務を効率化できたと評価しています。空いた時間を活用して、見積内容を吟味できるようになりました。

石坂建設株式会社様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

【導入事例をもっと見る】 

建築見積は単価などをしっかり確認

ここでは、建築業における見積方式や見積書の作成方法などを解説しました。見積方式は単価にさまざまな費用を含む複合単価方式、原価を明らかにする原価公開方式に分かれます。建築業の見積書は、原則として表紙、内訳書、条件書で構成されます。作成にあたっては、誤りをなくすこと、階層を意識して内訳をわかりやすくすることが大切です。

 

作成手段は、エクセルと建築見積ソフトに分かれます。後者は、ミスを減らしたり業務効率を改善したりできるためおすすめです。建築見積ソフトが気になる方は「建築見積りソフトKensuke Neo」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。