公開日 2024.06.26 更新日 2024.07.09

建築業の見積作成に活用できるフリーソフト3選と有料ソフト3選

建築の見積作成は負担の大きな業務です。「手間や時間がかかりすぎる」と感じている方は多いでしょう。業務効率を改善するため、幅広く利用されているのが建築見積ソフトです。ここでは、建築見積ソフトの魅力、選び方を解説するとともにおすすめのフリーソフト3選と有料ソフト3選を紹介しています。以下の情報を参考にすれば、自社に合っているソフトを見つけられるはずです。見積業務の効率化を検討している方は参考にしてください。

建築見積ソフトとは

建築見積ソフトは、積算結果に利益と諸経費をのせた見積を算出するソフトです。積算は図面などから工事原価を算出することといえるでしょう。したがって、積算結果で工事を請けると赤字になってしまいます。建築業において見積は非常に重要な業務です。

 

ただし、見積の算出には一定の手間と時間がかかります。また、一般的に用いられている表計算ソフトで業務を行うと、入力ミスや計算ミスが起こりやすく、ファイルを共有しにくいため、業務効率も低下しがちです。見積の算出を課題と捉えている事業者は少なくありません。

建築見積ソフトは、建築業界向けに制作された見積ソフトです。導入により、上記の問題点を解決できる可能性があります。大手事業者はもちろん中小工務店でも、見積書の品質向上と業務改善を目指して導入が進みつつあります。

 

関連記事:建設工事の見積書の書き方を解説!概要や内訳・必要な項目を紹介

見積ソフトの種類

見積ソフトは、以下の2種類に大別できます。

  • クラウド型
  • インストール型

クラウド型とインストール型の特徴は異なるため、詳細を理解してから選択することが大切です。ここでは、両者の特徴を解説します。

クラウド型

インターネットを介して、オンライン上のサーバーで提供される見積ソフトを利用するタイプです。情報の入力などは、インターネット経由で行います。クラウド型の主なメリットは次のとおりです。

  • インターネット環境があればいつでも、どこからでも利用できる
  • PC、タブレット、スマートフォンで操作できる
  • 1つの見積ファイルを複数名のスタッフで共有できる
  • サーバー管理などのコストがかからない
  • 自社で法令改正などに対応しなくてよい

サービスプロバイダーが、バックアップやメンテナンスなどを行うため、原則として管理の手間はかかりません。法令対応についても同様です。

 

また、外部のサーバーにデータを保存するため、自社のパソコンが壊れてもデータを守れます。インストールなどの作業を必要としないため、スムーズに導入しやすい点も見逃せません。ただし、原則として月額利用料がかかります。通信障害が発生すると、利用できない点にも注意が必要です。

インストール型

パソコンに見積ソフトをインストールして利用するタイプです。主なメリットとして以下の点があげられます。

  • インターネット環境から影響を受けず利用できる
  • 使用するパソコンによっては処理速度が速い
  • クラウド型に比べてカスタマイズしやすい
  • 月額利用料がかからない

パソコンにインストールするため、インターネット環境の有無を問わず利用できます。たとえば、パソコンをインターネットに接続せずセキュリティを高めるといった利用方法も検討できます。原則として買いきりであるため、月額利用料がかからない点も魅力です。

 

ただし、見積ソフトを利用できるのは、当該ソフトをインストールしたパソコンに限られます。複数名で利用したい場合は、ネットワークの構築が必要です。また、法令改正などに対応するバージョンアップも自社で行うことになります。クラウド型に比べて、手間がかかりやすいといえるかもしれません。

建築見積ソフトを導入するメリット

建築見積ソフトの導入には、さまざまなメリットがあります。主なメリットは以下のとおりです。

時間とコストを節約できる

建築見積ソフトを導入すれば、見積の算出と見積書の作成にかかる時間を削減できます。手作業を減らせる機能を搭載しているためです(具体的な機能は、建築見積ソフトで異なります)。同機能により、ヒューマンエラーを防げる点も見逃せません。経験不足によるミス、慢心によるケアレスミスを防ぎやすくなります。

 

見積業務にかかる時間を削減できれば、コストも削減できる可能性があります。残業代を減らせたり、新たにスタッフを雇う必要性がなくなったりするためです。建築見積ソフトには、業務の効率を改善する効果だけでなくコストを削減する効果も期待できます。

計算ミスを防げる

計算ミスを防ぎやすくなる点も、建築見積ソフトを導入するメリットです。具体的な機能は製品で異なりますが、多くのソフトはデータを自動で収集したり計算を自動で行ったりする機能を搭載しています。表計算ソフトを使用する場合は、これらを手入力で行わなければなりません。したがって、計算ミスあるいは計算漏れなどが起こりえます。

 

見積金額は、積算額(工事原価)、一般管理費、利益の合計です。何かしらの理由で計算を誤ると、想定通りに利益を得られない恐れや取引先からの信頼を失う恐れがあります。会社の業績に影響を与えることもあるため十分な注意が必要です。これらのトラブルを防ぎやすくなる点は、建築見積ソフトの強みといえるでしょう。

過去データを分析できる

建築見積ソフトを導入すると、過去の見積データを分析、活用できるようになります。たとえば、年間のデータを集計して担当者別の実績を把握する、過去の類似案件をもとに見積書を作成するなどを行えます。後者の例であれば、見積書の作成にかかる手間を大きく削減できるでしょう。建築見積ソフトの導入により、業務の改善点を分析したり、業務の効率を高めたりできる可能性があります。積極的に導入を検討したいソフトといえるかもしれません。

建築見積ソフトを選ぶ際のポイント

建築見積ソフトには、さまざまな選択肢があります。導入するソフトで悩むケースは少なくありません。ソフトを選ぶ際は、以下の点を意識することが大切です。

  • 入力・操作は行いやすいか
  • セキュリティ対策がされているか
  • サポート体制は充実しているか

各ポイントについて解説します。

入力・操作は行いやすいか

導入前に必ず確認しておきたいのが、入力のしやすさ、操作のしやすさです。建築見積ソフトを導入する主な目的は、業務の効率化といえるでしょう。入力しにくかったり、操作しにくかったりすると目的を果たせません。それどころから、業務効率が低下して、現場から反発を招く恐れもあります。たとえば「慣れている手作業のほうが早い」などの理由で、建築見積ソフトが使われないことも考えられます。

 

では、どのようなソフトを選択すればよいのでしょうか。基本のポイントは、誰でも直感的に入力、操作できることです。ソフトの使い勝手は、無料トライアルで確かめられます。無料トライアルを利用できる場合は、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

セキュリティ対策がされているか

意識することは少ないですが、見積書は機密文書のひとつです。取引情報が記載されているため、社外に流出すると大きな不利益を被る恐れがあります。たとえば、取引先からの信用を失う、自社よりも安い価格で取引先に営業をかけられるなどが考えられます。

 

したがって、万全のセキュリティ対策を行っている建築見積ソフトを選ぶことが大切です。ただし、すべての製品がセキュリティ対策を公開しているわけではありません。情報を公開していない場合は、問い合わせなどの対応が必要になります。

また、運営者の信頼性を確かめておくことも重要です。運営者がはっきりしない場合や運営者の実績がわからない場合は、別のソフトを検討するほうがよいかもしれません。トラブルに巻き込まれることも考えられます。

サポート体制は充実しているか

サポート体制も導入前に確認しておきたいポイントとしてあげられます。使いやすさを売りにしているソフトであっても、導入につまずいたり設定方法がわからなかったりすることがあるためです。専門家のサポートを受けられないと、適切に使いこなせない恐れがあります。リモートでサポートを受けられる製品やサポート回数に制限のない製品であれば、どのような事業者であっても安心して導入できます。

 

ただし、サポートを受けられる日時には注意が必要です。自社の営業時間とずれていると、サポートを活用できないことがあります。自社の状況を踏まえて、必要なサポートを受けられる製品を選びましょう

おすすめのフリー建築見積りソフト

建築見積ソフトの中には無料で利用できるものがあります。コストを抑えられる点は魅力ですが、以下のデメリットには注意が必要です。

  • 機能を限定しているものが多い
  • サポートを受けにくい

ここからは、無料で利用できる建築見積ソフトを紹介します。

積算助っ人

手書き(ワープロ)感覚で積算業務を行えるソフトです。日々の業務で使用する文書作成ソフトのように扱えるため、パソコン操作に慣れていないスタッフでも問題なく使用できるケースが多いでしょう。計算式は自分で入力します。主な機能は次のとおりです。

  • 積算項目をグループで区分
  • ツリービュー表示
  • 計算式にコメントを挿入
  • 材料データから登録可
  • さまざまな形式でのデータ出力に対応

使い勝手の良い積算ソフトといえるでしょう。ただし、公式サイトは閉鎖されていました(2024年6月時点)。また、動作OSは「Windows 8/7/Vista/XP」です。アップデートなどは行われていない可能性があります。導入前に詳細を確認しておきましょう。

ソフト名 積算助っ人
作者 T*Factory
料金 無料(シェアウェア版あり)
動作OS Windows 8/7/Vista/XP

出典:Vector「積算助っ人」

KENSEKI

建物の内装工事積算用に設計されたソフトです。床、壁、腰壁、天井、巾木などの数量を算出できます。主な特徴は、データ入力を手軽に行えることです。室数を60室、仕上材を60種まで登録できる点もポイントです。また、腰壁と小壁を同時に計算できるなど、実用性にもこだわっています。

 

ただし、公式サイトに記載されている動作OSはWindows98/95(Ver.2.20が公開された日時は「01.09.22」)です。KENSEKIも詳細を確かめてから導入したいフリーソフトといえるかもしれません。

ソフト名 KENSEKI
作者 佐々木 智雄
料金 無料
動作OS Windows 98/95

出典:Vector「積算助っ人」

木造住宅 積算・見積作成シート

向井哲郎一級建築士事務所が提供しているソフト(Excelで製作)です。木造住宅における積算、見積の業務効率向上を主な目的としています。工事、資材の単価設定を実行単価と営業単価に分けて行える点が特徴です。

 

実行単価と営業単価の差で生じる粗利益も表示できます。概算見積書の作成にかかる時間の目安は30~40分程度です。フリー版は、平屋建てに対応しています。向井哲郎一級建築士事務所は、入力数値の拾い出しを不要にした「木造住宅 積算・見積作成シートV4」なども扱っています。

ソフト名 木造住宅 積算・見積作成シート
作者 向井 哲郎
料金 無料(有料版あり)
動作OS Windows 7/Vista/XP

【出典】
Vector「木造住宅 積算・見積作成シート」
向井哲郎一級建築士事務所「木造住宅 積算 見積書作成ツール」

おすすめの有料建築見積りソフト

建築見積ソフトの中には有料のものもあります。費用はかかりますが、次のメリットを期待できます。

  • 充実した機能を搭載している
  • 一定のサポートを行っている

ここからは、おすすめの有料見積ソフトを紹介します。

Kensuke Neo

建築見積りソフトKensuke Neo

建築見積りソフトKensuke Neo」は、建設・建設業界向けのソフトウェアを開発している株式会社アドバンが展開しています。最も大きな魅力は、エクセル感覚で見積書を作成できることです。初めて利用する方でも、直感的に操作できるケースが多いでしょう。職場に浸透しやすい建築見積ソフトと考えられます。

過去の見積データからコピーして見積を作成できたり、エクセルからデータを取り込んだりできる点も見逃せません。また、7階層まで内訳を作成できるなど、幅広い見積様式にも対応しています。さらに、複数のスタッフで同一物件を手分けして入力することも可能です。

 

ちなみに、Kensuke Neoは、仕上積算ソフト「Neo仕上」など、アドバンのシステムと連携できます。たとえば、Neo仕上と連携すれば、積算から見積までの時間を大幅に削減できるでしょう。何度でも無料で操作指導を受けられるなど、サポートが充実している点もポイントです。

ソフト名 建築見積りソフトKensuke Neo
販売 株式会社アドバン
料金 要問合せ
動作OS Microsoft Windows 11/10/8/7

出典:株式会社アドバン「Kensuke Neo(ケンスケ ネオ) | 簡単建築・建設見積作成ソフト」

楽王Crew/Link

システム開発事業などを手掛けるアークシステム株式会社が展開しています。主な特徴は、導入しやすい料金で積算見積に必要な基本機能を利用できることです。具体的には、物件ごとのデータ管理、材料マスタを使用した内訳明細の制作、既存データの検索と複製などの機能を備えています。材料マスタは、楽王オリジナルに加え、全日出版の単価情報を収録しています。

 

サブスクリスションを採用しているため、追加料金がかからない点もポイントです。楽王は、積算ソフト未導入企業向けの楽王Crewと複数のスタッフで積算見積を行う企業向けの楽王Linkにわかれます。ニーズにあわせて選べる点も魅力です。

ソフト名 楽王Crew/Link
販売 アークシステム株式会社
料金 楽王Crew:8,800円/月(1ライセンス)

楽王Link:14,800円/月(2ライセンスの場合)

動作OS 要問合せ

出典:楽王「楽王Crew・楽王Link製品紹介」

アイピア

ITシステムの請負開発などを手掛ける株式会社アイピアが展開しています。主な特徴は、建築業務で求められる機能をまとめて搭載していることです。具体的には、見積作成、原価発注管理、請求管理、入金管理、書類管理、物件管理、顧客管理、勤怠管理、労務管理、営業進捗管理などの機能をカスタマイズできる状態で搭載しています。

 

導入により、営業、経理、現場、管理者の業務を効率化できる可能性があります。エクセル感覚で見積書を作成できる点もポイントです。過去のデータを活用して見積作成時間を大幅に短縮することもできます。

アイピアの料金プランは、ライト・ベーシック・プロフェッショナルの3プランです。利用できる機能は上位プランほど充実しています。「見積作成・見積書印刷」に対応しているプランはベーシック以上です。

ソフト名 アイピア
販売 株式会社アイピア
料金 ライト:初期費用120,000円+最低月額利用料10,000円

ベーシック:初期費用480,000円+最低月額利用料20,000円

プロフェッショナル:初期費用570,000円+最低月額利用料30,000円

※月額最低利用料は5ユーザーまで

動作OS 要問合せ

出典:建築業界の業務管理なら【アイピア】

建築見積ソフト「Kensuke Neo」の導入事例

ここからは、建築見積ソフト「Kensuke Neo」の導入事例を紹介します。

株式会社山上組様の導入事例

株式会社山上組様の導入事例
株式会社山上組は、積算に時間がかかり過ぎること、担当できるスタッフが限られていることに悩んでいました。解決策として導き出したのが、パソコン上で積算を行える扱いやすいソフトウェアの導入です。上記の条件に該当するソフトウェアとして「Kensuke Neo」を選びました。実際に導入したところ、操作をすぐに習得できたうえ、手作業の積算に比べ業務効率も改善しました。導入後の親身なアフターサポートにも満足しています。

株式会社山上組様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

株式会社ナカシロ様の導入事例

株式会社ナカシロ様の導入事例
株式会社ナカシロは、積算業務にかかる時間に悩んでいました。対策として検討したのが、手作業を必要としない積算ソフトの導入です。株式会社ナカシロは、無料試用できる「Kensuke Neo」を導入しました。試用期間中に実物件で試したところ、簡単に操作できることがわかり、正式導入が決定しました。現在は、すべての建築部員が操作できる体制を目指しています。

株式会社ナカシロ様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

石坂建設株式会社様の導入事例

石坂建設株式会社様の導入事例
石坂建設株式会社は、積算業務を手作業で行っていることと積算業務に時間がかかりすぎることに悩んでいました。他の業務に支障がでることがあったためです。そこで検討したのが、短時間で積算を行えるソフトウェアの導入です。「Kensuke Neo」を導入したところ、手作業に比べ5倍程度も業務効率が改善しました。余った時間を活用して、見積の品質向上に取り組んでいます。

石坂建設株式会社様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

【導入事例をもっと見る】 

フリーソフト、有料ソフトで建築見積の業務効率を改善

ここでは、建築見積に活用できるフリーソフトと有料ソフトを紹介しました。建築業に欠かせない積算と見積は、多くの手間と時間がかかる業務です。建築見積ソフトを活用すれば、業務効率を大きく改善できる可能性があります。フリーソフトの魅力はコストがかからないことです。

 

ただし、機能やサポートは乏しい傾向があります。機能やサポートを重視したい方には、有料ソフトがおすすめです。それぞれの特徴を踏まえたうえで、自社に合っているものを選んでみてはいかがでしょうか。