共通仮設費とは?費用の内訳と計算方法を解説
共通仮設費とは何か、どのように計算するのか知りたい方もいるでしょう。本記事では、共通仮設費の概要や費用の内訳、計算方法を詳しく解説しています。
また、工事別の共通仮設費率の計算方法や建築見積ソフト「Kensuke Neo」の紹介も含め、具体的な導入事例を交えてわかりやすく説明しています。共通仮設費についての理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
共通仮設費とは
共通仮設費とは、工事全体の運営をサポートするために必要な費用で、工事の進行そのものに直接関係しないが、全体をスムーズに進めるために欠かせない支出を指します。
特定の工事現場において必要とされるものであり、規模や種類に応じて変動。共通仮設費は、プロジェクトの全体コスト管理において非常に重要な要素であり、無視できない存在と言えるでしょう。
共通費との違い
共通仮設費は、共通費の一部に分類されます。共通費とは、工事全体の運営を支える間接的な費用を指し、共通仮設費、現場管理費、一般管理費から構成されます。
共通仮設費は特定のプロジェクトのために必要な、仮設物の設置や撤去にかかる費用であり、各プロジェクト固有のニーズに応じて発生します。一方、共通費はより広範な視点から見た間接費であり、複数のプロジェクトにわたって均等に配分されるのが一般的。
共通費は、企業全体の経営やプロジェクト管理のコストに直結しています。
直接仮設費との違い
直接仮設費は、工事の実施に直接必要な仮設物にかかる費用を指します。足場の設置や養生など、工事の進行そのものに不可欠な項目が含まれます。
共通仮設費とは異なり、直接仮設費は工事施工そのものに密接に関連するため、直接工事費として分類されます。つまり、共通仮設費が間接的な支援に関わる費用であるのに対し、直接仮設費は工事の物理的な実行に不可欠な費用なのです。
共通仮設費の内訳
共通仮設費は、主に8項目に分類されます。それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
項目 |
説明 |
準備費 |
現場の調査、測量、整地作業など、工事開始前の準備活動に関連する費用です。工事用地の整備や除草、廃棄物の処分も含まれます。 |
仮設建物費 |
工事現場に設置される仮設事務所や倉庫、作業員の更衣室など、仮設建物の建設、維持、解体にかかる費用です。 |
工事施設費 |
仮囲いや工事用道路など、現場で必要な特定の施設の設置・撤去にかかる費用を指します。これにより、現場の管理や安全性が確保されます。 |
環境安全費 |
粉塵や騒音の抑制、振動対策、安全標識の設置など、現場の環境保護と作業員の安全対策に関連する費用です。 |
動力用水光熱費 |
工事に必要な電力、水道、ガスなどのエネルギーにかかる費用です。これには電気料金や水道料金が含まれます。 |
屋外整理清掃費 |
現場周辺の整理整頓や清掃活動にかかる費用で、ゴミの清掃や雑草の刈り取りなどが含まれます。 |
機械器具費 |
工事で使用する重機や各種機械のレンタルや購入、維持管理にかかる費用です。クレーンやコンプレッサーなどが該当します。 |
その他 |
上記に含まれない費用で、試掘や地下水対策、防災対策など、特殊な要件に対応するための費用です。 |
これらの項目は、建設プロジェクトの計画段階で見積もりし、プロジェクト全体の予算に影響を与える重要な要素となります。
共通仮設費の計算方法
共通仮設費の計算には、各項目の費用を個別に合算する方法と、共通仮設費率(Kr)を用いる方法の二つがあります。個別の費用を合算する方法は、詳細な内訳を明確にするために有用ですが、多くの項目に渡るため計算に時間がかかり、ミスが発生しやすいデメリットがあるのです。
そのため、多くの建設プロジェクトでは、効率的かつ精度の高い計算が可能な「共通仮設費率」を用いる方法が一般的に採用されています。
計算式 |
アルファベットの意味 |
Kr=Exp(a + b × Loge P + c × LogeT) |
a, b, c:工種やプロジェクトの特性に応じた定数
P:直接工事費(千円単位) T:工期(月単位) |
各工種ごとに設定された定数a, b, cを用いて、計算式に代入。式により算出されたKrの値は、小数点以下第3位を四捨五入して小数点第2位まで求めます。
最後に、算出されたKrを直接工事費(P)に掛けることで、共通仮設費を求めます。
具体的には、共通仮設費 = Kr × 直接工事費(P) で計算されるのです。
工事別の共通仮設費率の計算方法
共通仮設費率(Kr)は、工事の種類や規模に応じて異なる計算式が適用されます。ここでは、各工事タイプの共通仮設費率の計算方法と、適用範囲を解説します。
新営建築工事
新営建築工事における共通仮設費率は、以下の式で求められます。
- Kr = Exp(3.346 – 0.282 × loge P + 0.625 × loge T
Pは直接工事費(千円)、Tは工期(月)を表します。直接工事費が1,000万円から50億円の範囲内で適用され、これを超える場合には別途設定が必要です。
改修建築工事
改修建築工事の場合、共通仮設費率は次のように計算されます。
- Kr = Exp(3.962 – 0.315 × loge P + 0.531 × loge T
適用範囲は直接工事費が300万円から10億円であり、この範囲を超える場合には、別途の仮設費を設定します。
新営電気設備工事
新営電気設備工事における共通仮設費率は、以下の式で計算されます。
- Kr = Exp(3.086 – 0.283 × loge P + 0.673 × loge T
直接工事費の範囲は1,000万円から10億円で、この範囲を超える工事については個別に費用が定められます。
改修電気設備工事
改修電気設備工事では、共通仮設費率の計算式は以下の通りです。
- Kr = Exp(1.751 – 0.119 × loge P + 0.393 × loge T)
この計算式は、直接工事費が300万円から10億円の範囲で適用され、範囲外の工事については個別に設定されます。
新営機械設備工事
新営機械設備工事における共通仮設費率の計算は、以下の式に基づきます。
- Kr = Exp(2.173 – 0.178 × loge P + 0.481 × loge T)
この場合、直接工事費が1,000万円から10億円の範囲に適用され、範囲を超える工事では別途定める必要があります。
改修機械設備工事
改修機械設備工事の共通仮設費率は次のように算出されます。
- Kr = Exp(2.478 – 0.173 × loge P + 0.383 × loge T)
直接工事費の適用範囲は300万円から10億円となっています。この範囲を超える場合は、別途設定が求められます。
昇降機設備工事
昇降機設備工事における共通仮設費率の計算式は、他の工事とは異なり、次の通りです。
- Kr = Exp(4.577 – 0.323 × loge P)
計算式は、工期に関する項目がなく、直接工事費のみで決定されます。適用範囲は500万円から5億円であり、範囲外の場合は再び設定が必要となります。
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株式会社山上組様の導入事例
株式会社山上組様は、奈良県奈良市に拠点を置く建築会社で、従業員数が限られている中での積算業務の効率化が課題でした。導入前は手作業が多く、作業時間がかかる上に担当者が限られている状況でしたが、「Kensuke Neo」の導入によって操作が直感的で学びやすく、すぐに現場で使えるようになりました。
このシステムは、使うほどにその柔軟性が発揮され、手作業と比較し5〜10倍の効率化が実現しています。
株式会社ナカシロ様の導入事例
愛知県名古屋市の株式会社ナカシロ様は、手作業での積算業務が時間を要し、業務効率を上げるためにシステム導入を検討していました。「Kensuke Neo」を試用することで、簡単な操作性と即座に使いこなせる点が評価されました。
建築部門の全員が積算業務を担えるようにするのを目指しており、操作性の良さから、今後は全員がシステムを活用できる環境が整備されていく予定です。
石坂建設株式会社様の導入事例
石坂建設株式会社様は、富山県富山市に本社を置く企業で、従来の手作業による積算作業の非効率さに課題を抱えていました。アドバン社の積算システムを20年以上利用しており、その中で「Kensuke Neo」の導入によって大幅な効率化を達成。
ソフトウェアを活用することで見積もり作成に余裕が生まれ、より詳細で正確な見積もりを提供できるようになりました。現在では、「Kensuke Neo」がなくては業務が進まないほど重要なシステムとなっており、積算・見積業務の中心的な役割を果たしています。
共通仮設費の計算方法を理解しよう
いかがでしたでしょうか?共通仮設費についての理解が深まったかと思います。
共通仮設費を把握するのは、工事全体の予算管理において非常に重要です。共通費や直接仮設費との違いを理解しておくことで、誤った費用計上を避けられるでしょう。また、共通仮設費率の計算方法を理解しておけば、プロジェクトの見積もり精度を向上させられます。
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【アドバンが提供するサービス一覧】
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株式会社アドバン代表取締役社長
「建設関連ソフトを通して世の中に貢献する」がモットーです。
創業から20年以上、重要な業務である積算や見積書作成などの効率化・高精度化に貢献したいとの思いで、建設業に特化したシステムの開発に取り組んできました。
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