公開日 2024.08.21 更新日 2024.09.13

建設業における労務費とは?計算方法や人件費との違いを解説

「建設業における労務費の計算方法や、人件費との違いを知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、労務費の概要や計算方法、さらに労務費と人件費の違いについて解説しています。

また、労務管理の重要性や効率化の方法、さらに具体的な導入事例も紹介。建設業の労務管理について、理解を深めていきましょう。

 

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建設業の労務費とは

建設業における労務費とは、工事現場での作業に従事する、労働者に対して支払われる費用のことを指します。工事を進めるために不可欠な要素であり、工事原価の一部として計上されます。

具体的には、作業員や技術者に支払われる賃金や給与、さらに健康保険や年金といった福利厚生費など。労務費は、直接的に工事に従事する労働者に対する支出であり、建設業の運営において重要な経費の一つです。

建設業における労務費の計算方法

建設業における労務費は、大きく分けて直接労務費と間接労務費の二種類に分類されます。この区別は労務費の計算において重要であり、それぞれの項目を正確に理解する必要があります。

ここでは、直接労務費と間接労務費の違いについて詳しく説明します。

直接労務費

直接労務費とは、工事現場で実際に作業する職人や労働者に対する支払のことであり、工事に直接関与する人々への賃金や給料が含まれます。具体的には、直接雇用された職人に支払われる「賃金」と、臨時作業員への「雑給」が該当。

ただし、複数現場を移動する場合の移動時間に関する支払は、直接労務費には含まれず、間接労務費に区分される点に注意が必要です。

間接労務費

間接労務費は、直接労務費に含まれない労務関連の費用を指します。例えば、従業員に支払われる賞与や退職金の積立金、法定福利費、休業手当や有給手当などが該当します。

また、工事現場で使用する機械のメンテナンスにかかる費用や、運搬作業に従事する人々への支払いも間接労務費として計上。働く人に対して直接支払われる給与以外の費用は、すべて間接労務費に分類されるため、覚えておきましょう。

建設業の積算における計算方法

労務費は、直接労務費と間接労務費の二つに分類されると解説しましたが、それぞれ計算方法が異なります。

まず、直接労務費は工事現場で実際の作業に対して支払われる賃金を指し、計算式は「賃率」×「施工時間」です。賃率は、「労働者に支払われる賃金」÷「労働時間」で計算されます。

一方、間接労務費は、直接労務費以外の労務関連費用を指し、賞与や福利厚生費などが含まれます。間接労務費は、「総労務費」-「直接労務費」を差し引くことで計算されます。

建設業の労務費の内訳

建設業における労務費は、さまざまな形で労働者に支払われる費用を指し、多岐にわたる要素で構成されています。ここでは、賃金、雑給、賞与、退職給付金、法定福利費の各項目について詳しく説明します。

賃金

賃金とは、工事現場で直接作業する職人や技術者に対して支払われる、基本的な報酬です。正社員として直接雇用されている労働者の月給や日給が含まれます。

賃金は労働契約に基づいて支払われるものであり、労働者の生活を支える基本的な収入源でしょう。

雑給

雑給は、パートタイムやアルバイトなどの臨時労働者に対して支払われる給与を指します。日雇いや期間限定で雇用される労働者への報酬が含まれます。

雑給は賃金とは異なり、短期的な雇用契約に基づいて支払われるもの。通常は基本給や手当として計上されます。

賞与

賞与とは、基本給以外に支給される特別な給与のことで、ボーナスや各種手当が該当します。例えば、家賃補助や通勤手当、扶養手当など、労働者の生活支援を目的とした、さまざまな補助金が含まれます。

賞与は、企業の業績や個々の労働者の貢献度に応じて支給されるケースが多いです。

退職給付金

退職給付金は、従業員が退職する際に支払われる一時金や年金形式の給付金です。退職後の生活を支えるもので、通常は勤務期間や退職時の役職に応じて金額が決まります。

確定給付企業年金や厚生年金基金などもこのカテゴリーに含まれます。企業は退職給付金を支払うため、あらかじめ積立金を設けるのが一般的です。

法定福利費

法定福利費は、社会保険料や雇用保険料など、法律で定められた労働者の福利厚生費用を指します。健康保険料や厚生年金保険料、労災保険料、雇用保険料などが含まれ、雇用主が負担する部分です。

法定福利費は、労働者の健康や生活の安定を支援するために支払われるものであり、企業にとっては義務的な経費となります。

関連記事:建築業界の見積書に含まれる法定福利費とは?確認しておくべき注意点

建設業の労務費と人件費の違い

建設業における労務費と人件費は、どちらも従業員に支払われる費用である点では共通していますが、範囲や内容に明確な違いがあります。

人件費とは、企業全体で発生するすべての従業員への給与や、手当を含む総合的な費用。事務職員、営業職員、管理職、販売職員など、すべての部門の従業員に対する報酬が含まれます。

一方、労務費は建設現場で実際に作業する職人や技術者に対して支払われる給与や手当を指します。労務費は、人件費の中でも特に工事現場に従事する労働者に関連する部分であり、工事に直接関与する職人に限定される点が特徴。

つまり、労務費は人件費の一部であり、工事現場での労働に直接かかわる費用として区分されます。

建設業における労務管理の重要性

建設業界において、労務管理は業務効率化や品質向上を図るための不可欠な要素です。労務費の管理は、企業の経営体制を健全に保つこと、正確な見積もり、さらに労働環境の改善につながります。

健全な経営体制の整備

建設業において、労務費は工事原価の中でも大きな割合を占めるため、管理は経営の健全性を維持するために重要です。過剰な労務費の発生を防ぎ、適切な人材配置で費用対効果を最大化し、企業の経営を安定させられます。

また、労務費を適切に管理することで法令遵守のリスクを低減し、持続可能な経営体制を構築できるでしょう。

精度の高い見積もり

正確な見積もりのためには、労務費をはじめ工事にかかる費用を正確に把握する必要があります。過去の工事データをもとに、精度の高い見積もりを提供することで、クライアントからの信頼を得るとともに、プロジェクトの成功率を高められます。

見積もりと実際のコストとの間に大きなズレがないようにするためにも、労務費の管理は不可欠なのです。

労働環境の改善

労務管理は、従業員の健康と安全を守るための基本です。適切な労働時間の管理を通じ、長時間労働を防止し、従業員の健康維持に努めなければいけません。

これにより、従業員の満足度やモチベーションが向上し、全体の生産性の向上にもつながるでしょう。また、良好な労働環境を提供することで、優れた人材の確保と定着が期待でき、企業の競争力を強化できます。

建設業の労務管理を効率化するためには?

建設業における労務管理の効率化は、コスト削減や業務の円滑化に直結します。適切な労務管理ツールの選定は、業務の効率化を実現し、正確なデータ管理を可能にするでしょう。

ここでは、エクセルと専用ソフト二つの選択肢について解説します。

エクセルを使う

多くの企業で利用されている表計算ソフト、エクセルは労務管理にも活用されています。エクセルはPCに標準インストールされている場合が多く、初期費用がかからないため、手軽に始められるのがメリット

シートを自由にカスタマイズできるため、建設業特有の労務費計算やデータ管理にも対応可能です。関数やマクロを活用すれば、労務費の集計や計算の効率化も図れるでしょう。

専用ソフトを使う

建設業向けの労務管理を効率化するには、専用ソフトを導入するのも有効です。工事原価や労務費の計算、勤怠管理など、建設業に特化した機能を備えており、業務の流れに沿った管理が可能です。

専用ソフトを使用することで、複雑な労務管理作業を自動化し、精度の高いデータ管理を実現できるでしょう。

簡単建築見積ソフトなら「Kensuke Neo」

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「Kensuke Neo」は、建築業界で求められる見積作成のプロセスを大幅に簡素化する、画期的なソフトウェアです。エクセルのような直感的な操作性を持ち、導入にかかるコストや時間を削減できます。

リフォームや木造住宅の小規模工事から、鉄骨造やRC造などの大規模工事に至るまで、幅広い工事に対応。あらゆる規模のプロジェクトで活用可能です。

「Kensuke Neo」のもう一つの特徴は、見積作成の効率を劇的に向上させられる点。JW_CADとの連携により、データを瞬時に積算し、見積書の作成がスムーズにできます。これにより、積算から見積作成までのプロセスがシンプルになり、作業時間の短縮と二度手間の解消が実現されるでしょう。

従来のソフトに満足できなかった方にも、機能の充実度と使いやすさで新たな価値を提供してくれます。

 

建築見積ソフト「Kensuke Neo」の導入事例

「Kensuke Neo」は、簡便な操作性と高機能で、多くの建設業者に採用されています。ここでは、実際に「Kensuke Neo」を導入した企業の成功事例をご紹介します。

各社が抱えていた課題をどのように解決し、どのような効果が得られたのかを見ていきましょう。

株式会社山上組様の導入事例

株式会社山上組様の導入事例

奈良県奈良市に拠点を置く株式会社山上組様では、積算業務の効率化が喫緊の課題でした。従来の方法では作業時間がかかり、担当者も限られていたため業務が滞っていたとのこと。

「Kensuke Neo」を導入したことで、積算専任者がいなくても誰でも簡単に操作を習得でき、作業の迅速化が図られました。さらに、使い込むことでシステムの柔軟性や深い機能に気付き、より効率的な運用が可能となったようです。

株式会社山上組様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

株式会社ナカシロ様の導入事例

株式会社ナカシロ様の導入事例

愛知県名古屋市の株式会社ナカシロ様は、手作業でしていた積算業務に時間がかかり、業務効率の改善が求められていました。「Kensuke Neo」の導入により、システムの直感的な操作性が評価され、短期間で建築部員全員が操作を習得しました。

これにより、全員が積算業務に携わる体制が整い、業務効率が大幅に向上。実際の案件での利用においても、操作が簡単でありながらも精度の高い見積もりを作成できています。

株式会社ナカシロ様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

石坂建設株式会社様の導入事例

石坂建設株式会社様の導入事例

富山県富山市に本社を構える石坂建設株式会社様では、手作業での積算業務が負担となり、他の業務に支障をきたすことがありました。アドバン社の「Kensuke Neo」を導入してから約20年、その優れた積算・見積もりシステムによって、作業効率は従来の5倍以上に向上しました。

さらに、見積の作成に余裕が生まれたことで、内容の精査が可能となり、より精度の高い見積もりを提供できるようになったようです。今では、同社の積算業務において欠かせないツールとなっています。

石坂建設株式会社様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

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建設業の労務費について理解を深めよう

いかがでしたでしょうか?建設業における労務費の計算方法や、人件費との違いについておわかりいただけたかと思います。労務費の把握は、健全な経営体制の構築や精度の高い見積もり作成に欠かせない要素です。また、労務管理の効率化は、労働環境の改善にも直結します。

 

業務の効率化を図るためには、「建築見積りソフトKensuke Neo」がおすすめ。多くの機能で充実しており、エクセル感覚で簡単に覚えられる、本格的な見積ソフトです。ぜひ、この機会に導入を検討されてはいかがでしょうか。

建設業向け管理ソフトなら株式会社アドバン

 

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この記事の監修者
株式会社アドバン
田中 博幸

株式会社アドバン代表取締役社長

「建設関連ソフトを通して世の中に貢献する」がモットーです。 創業から20年以上、重要な業務である積算や見積書作成などの効率化・高精度化に貢献したいとの思いで、建設業に特化したシステムの開発に取り組んできました。
すべてのソフトで無料で使用評価をいただくことが可能であり、ほとんどのお客様に十分納得をいただいたうえで、システムを導入していただいています。