公開日 2024.06.26 更新日 2024.07.09

建築業界の見積書に含まれる法定福利費とは?確認しておくべき注意点

建築業において見積書を作成する際には「法定福利費」と呼ばれるものを記載しなければなりません。ただ「そもそも法定福利費が何かわからない」といった方もいるのではないでしょうか。
ですが見積書への記載は法律で義務付けられているので、正しく理解しておく必要があります。

 

ここでは、法定福利費について調べている方のため、法定福利費とは何か、どのような形で見積書を作成すれば良いかを紹介します。この記事を読むことで法定福利費を扱う際の注意点などもわかるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。

建築業界の見積書でみられる法定福利費とは?

法定福利費とは、法律に基づく形で企業が従業員に提供する保険・費用といったもののことをいいます。福利厚生の一つであり、該当するのは以下のものです。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 子ども・子育て拠出金

法律に従って支払う必要があることから法定福利費と呼ばれ、各保険料は会社と従業員が一定の割合で負担する形となっています。社会保険料・労働保険料脳内で自営業主の負担となる分が法定福利費に該当する形です。

福利厚生費との違い

よく聞くものとして、福利厚生費があります。今回紹介している法定福利費も福利厚生費の一部です。
福利厚生費は「法定福利費」と「法定外福利費」に分けることができ、法令に基づいて企業が費用負担するように義務づけられているのが法定福利費、それ以外の福利厚生が法定外福利費です。

 

法定外福利厚生のためにかかる費用は「福利厚生費」と呼ばれます。法令で支払うことが定められていないものの、企業側が判断して提供する費用です。
以下のようなものが該当します。

  • 通勤手当
  • 出張手当
  • 社員旅行費の補助
  • 人間ドックの補助
  • 社宅の賃料
  • 慶弔費
  • 新年会・忘年会等の費用

法定福利費は消費税が課税されないのに対し、福利厚生費の場合はほとんどで消費税がかかるのも違いです。

法定福利費の見積書記載に関する変化

もともと、見積書に福利厚生費を記載する必要はありませんでした。ですが、平成25年から見積書に法定福利費の内訳を明示することが義務化されています。
そのため、下請け会社であっても法定福利費を見積書に記入していないと仕事を受注できません。

 

法律で義務化された背景にあるのが、建築業における社会保険の未加入問題です。本来であれば社会保険や労働訳に加入しなければならない企業であっても加入することなく、従業員を雇用しているケースが多く見られました。
これが問題視され、法律で見積書に法定福利費の内訳を明示するように義務化することで社会保険未加入問題の解決を目指しています。

法定福利費を内訳表示した見積書の作成方法

実際に見積書に法定福利費を含める場合は、どのような方法で作成を進めていけば良いのでしょうか。ここでは、見積書作成の流れを紹介します。

労務費の計算を行う

はじめに行わなければならないのが、労務費の計算です。基本的に建設工事における見積書では1件の工事ごとに提出することになるため、労務費も工事ごとに求めなければなりません
具体的な労務費の計算方法は、企業によって異なります。

 

ただ、一般的な計算方法は「人工数×平均日額賃金」です。人工数とは、作業員の人数、または作業員1人が一日で働ける仕事量のことをいいます。
仮に15人工必要で平均日額賃金が25,000円だった場合、労務費は「15×25,000=375,000円」です。

この他に厚生労働省によって定められている労務費率を掛けて計算する方法もあります。
例えば、既設建築物設備工事業を除く建築事業の労務費率は23%です。そのため、本体工事が100万円だった場合「1,000,000×23%=230,000円」となります。

労務費から法定福利費を算出する

次に、計算した労務費から法定福利費を算出しましょう。労務費に社会保険料率を掛けて計算することになります。各保険料の事業主負担分のみを見積書に記載しましょう。

それぞれの事業主負担分の割合は以下の通りです。

  • 健康保険:1/2
  • 介護保険料:1/2
  • 厚生年金保険料:1/2
  • 雇用保険料:年度により異なる
  • 子ども・子育て拠出金:全額

雇用保険料は、年度ごとに厚生労働省が発表しています。2024年(令和6年)の場合、建設の事業にかかる雇用保険料率の事業主負担分は1.15%(11.5/1,000)です。(※)

 

具体的な金額を計算してみましょう。保険料率は都道府県で異なり、年に数回改定されるので、見積書を作る時点で確認が必要です。
例えば、令和6年度の東京都の保険料率で計算してみると、労務費が100,000円だった場合は以下の通りとなります。

保険料の種類 保険料率

(事業主負担分)

法定福利費
健康保険料 5% 5,000円
介護保険料 0.8% 400円(※)
厚生年金保険料 9.15% 9,150円
雇用保険料 1.15% 11,500円
子ども・子育て拠出金 0.36% 3,600円
合計

(※)介護保険料は40~64歳までの人が第2号保険者として支払うことになりますが、ここでは全労働者のうち、第2号保険者の比率は便宜上50%として計算しました。
「100,000円×1.6%(総合保険料率)×50%(第2号保険者の比率)×1/2(事業主負担割合)=400円」

【参考】
全国健康保険協会
日本年金機構:厚生年金保険料額表
日本年金機構:子ども・子育て拠出金率が改定されました
(PDF)厚生労働省:令和6年度の雇用保険料率について

 

関連記事:建設工事の見積書の書き方を解説!概要や内訳・必要な項目を紹介

算出した法定福利費を見積書に明記する

計算により算出した金額を見積書に明記しましょう。
「労務費」と「法定福利費」は別々に記載しなければなりません。注意点として、介護保険料に関しては40歳未満の人は対象にならないため、介護保険の加入率を加味して計算する必要があります。

消費税の計算は法定福利費を含んで行う

法定福利費は消費税の対象になります。そのため、見積書の最後に記載する消費税は、税率を労務費と法定福利費の合計に適用した上で計算しましょう。

見積書の法定福利費を扱う際の注意点

見積書で法定福利費を扱う際には、注意しておかなければならないポイントがあります。ここでは、下請け側と元請け側それぞれの注意点を紹介します。

下請け側の注意点

工事の見積書を作成する際、法定福利費を記載する義務があるのは、下請け業者です。
そのため、必ず記載するようにしましょう。中には計算作業の手間を省くため「請負額」のように記載して大まかな金額を入れようと考えてしまうこともあるでしょう。ですが、計算によって正しく算出された金額を法定福利費として記載しなければなりません。

 

元請け企業側は見積書に法定福利費が正しく記載されているか確認しています。
もしも適当に取り扱ってしまった場合は信用を失い、仕事を依頼されなくなってしまう可能性もあるため、注意しましょう。そのためには法定福利費がどういったものなのか正しく理解することが求められます。

元請け側の注意点

元請け側は、下請け企業から受け取った見積書をチェックし、法定福利費がきちんと記載されているか確認する必要があります。下請け企業の中には、従業員を保険に加入させていないために法定福利費を記載できないようなケースもあるため、注意しなければなりません。

 

そういった下請け企業と契約し、万が一事故などにつながった場合は自社の評判にも影響してしまう恐れがあります。
また、下請け業者に対して工事を発注する際は、下請け業者の法定福利費を含めた金額で見積書を作成するようにしなければなりません。

簡単建築見積ソフトなら「Kensuke Neo」

建築見積りソフトKensuke Neo

手作業で見積書を作成するのは大変手間がかかることであり、手作業だからこそのミスが発生してしまうこともあります。そこで、建築見積ソフトの導入についても検討してみてはいかがでしょうか。

株式会社アドバンが提供する建築見積ソフト「建築見積りソフトKensuke Neo」は、充実した機能と、エクセル感覚で簡単に覚えられるわかりやすさが特徴です。

 

初見でも使いやすいので、導入するにあたり長時間操作方法を学ぶ必要はありません。導入時のオペレーションコストの削減にもつながります。
もちろん、何かわからないことなどがあれば無料で何度でも操作指導をいたします。大規模な工事はもちろんのこと、小規模の工事まで対応可能です。ぜひご利用ください。

建築見積ソフト「Kensuke Neo」の導入事例

建築見積ソフト「Kensuke Neo」は、これまでに1,000社以上に導入していただき、稼働率は98%以上を誇っています。ここでは、実際にKensuke Neoを導入していただいた企業の中から、導入事例を紹介します。

株式会社山上組様の導入事例

株式会社山上組様の導入事例

積算業務は時間がかかりやすく、関連するコストも大きくなりやすいといえます。株式会社山上組様ではこの積算の効率化を目指すため、Kensuke Neoを導入いただきました。
業務に時間がかかることだけではなく、積算業務を担当できる人が限られていることなどを課題としていたとのことです。

 

PC上で積算を行えて誰でも使いやすいシステムを導入したいと考えてKensuke Neoを選んでいただきました。実際に使用したところ、手作業で行っていた積算時と比較すると、5~10倍ほど効率化したとのことです。

操作が簡単ですぐ習得できたこと、使えば使うほど奥の深い柔軟性のあるシステムだと感じたこと、導入後のアフターサポートの質が高かったことなどを評価いただいています。

株式会社山上組様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

株式会社ナカシロ様の導入事例

株式会社ナカシロ様の導入事例

手作業で行う積算業務に時間がかかってしまい、手作業要らずで積算出来るソフトを探している中「Kensuke NEO」の導入を決めていただいたのが、株式会社ナカシロ様です。

 

まずはお試しということで、無料試用いただきました。その中で、実物件で操作性などを試したところ、ほぼ操作指導を受けることなく使えるようになったとのことです。

簡単な操作性を評価いただき、導入へとつながりました。現在は、建築部員全員で操作できるような体制を目指しています。

株式会社ナカシロ様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

石坂建設株式会社様の導入事例

石坂建設株式会社様の導入事例

「Kensuke NEO」の導入により、従来手作業で行っていた積算作業と比較すると5倍ほど効率が上がったのが石坂建設株式会社様です。もともと石坂建設株式会社様には20年ほど前から弊社の積算、見積システムを導入していただいていました。

 

今回、手作業で行っている各種積算に時間がかかり、他業務への支障が出るようになったため、導入していただいたのがKensuke NEOです。見積提出までに余裕を持てるようになったことから、これまで以上に内容を吟味した形での見積作成につながっています

石坂建設株式会社様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

【導入事例をもっと見る】 

法定福利費を十分に理解した上で見積書に記載する必要がある

いかがだったでしょうか。建築業の見積書に記載すべき法定福利費とは何かについて紹介しました。
計算や記載の方法についてご理解いただけたかと思います。法律で定められている項目なので、十分理解した上できちんと記載しましょう。
中には、見積作成に手間がかかったり、ミスが多かったりすることに悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

これらを防ぐために導入したいのが建築見積作成システムです。「建築見積りソフトKensuke Neo」は簡単操作で本格的な見積書を作成できます。操作を覚えやすく機能性も豊富で見積書作成の手間を抑えられるので、ぜひご利用ください。