公開日 2024.06.26 更新日 2024.09.13

インボイス制度が建設業界に与える影響と確認すべき請求書の書き方

令和5年(2023年)10月1日からインボイス制度が始まりました。これまでとは異なる請求書の書き方で進めていくことになります。
ですが、そもそもインボイス制度についてよくわからないという方もいるのではないでしょうか。

 

そこで、インボイス制度について詳しく知りたい方のため、制度の概要や建設業界に与える影響、請求書の書き方などを紹介します。この記事を読むことで手軽にインボイス対応の請求書を制作する方法などもわかるようになるので、ぜひご覧ください。

 

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そもそもインボイス制度とは

インボイス制度は、取引の消費税額と消費税率を正確に把握する目的で始まった制度です。正式名称は「適格請求書等保存方式」で、制度の開始に伴い、仕入税額控除を行うためには仕入先から「インボイス」と呼ばれる適格請求書を発行してもらうことが義務づけられました。
「インボイスを発行する=法律で定められた規格通りの取引関連書類を発行すること」という意味を持ちます。

 

インボイスを発行できるのは、適格請求書発行事業者として登録可能な課税事業者のみです。

インボイスがなければ仕入れの際に支払った消費税額を納税時の納税額から差し引くことができません。その分の仕入れ税額控除が受けられなくなることになるので、インボイス非対応の業者と取引すると支払う金額が増えてしまいます。

そのため、適格請求書発行事業者になれない免税事業者との取引に大きく影響してしまいますが、免税事業者であっても任意で課税事業者になることによって適格請求書発行事業者になることが可能です。

 

こういったルールがあるため、課税事業者はインボイスの発行ができない事業者と取引するにあたり、売上に含まれる消費税をすべて納税する必要があるため、注意が必要になります。

仕入税額控除とは

仕入先からはインボイスを発行してもらうことで仕入税額控除が可能になります。仕入税額控除とは、仕入れや経費にかかった消費税の控除に関する仕組みのことです。
消費税の課税売上にかかる消費税から、課税仕入れにかかった分の消費税を控除することをいいます。消費税が二重・三重に課税されてしまうのを防ぐための仕組みです。

 

現在の消費税10%(軽減税率対象は8%)で、商品の仕入れと販売を行う場合を例として紹介します。

例えば、事業者が仕入れ先から1,000円の仕入れを行い、消費税を100円支払ったとしましょう。次に、仕入れた商品を商品代金3,000円で販売し、買い手から300円の消費税を受け取ったとします。
消費税を受け取った売り手側である事業者は、買い手側に代わって国に納税しなければなりません。

 

しかし、事業者側も商品の仕入れをする際にすでに100円の消費税を支払っており、買い手から受け取った300円をそのまま納税すると仕入れ業者と買い手となる消費者で二重に消費税を納めていることになります。

こういった形を防ぐため、事業者は消費者から受け取った300円の消費税から仕入れ時に支払い済みの100円分の消費税を差し引き、200円を申告・納付できる仕組みが仕入税額控除です。

インボイス制度に対応するためには

インボイス制度に対応するために、売り手側はインボイス(適格請求書)を発行、保存しなければなりません。
そのためには、国税所に対して自社の情報を登録し、審査を受けて登録番号と呼ばれるものを発行してもらう必要があります。
登録のためには、国税庁の専用サイトから申請書をダウンロードし、必要事項を記載したら、紙、または電子で国税庁に提出する形です。

その後、取引先に登録番号や交付・受領方法に関することを伝えておきましょう。

 

また、買い手側は自社で利用している基幹システムや会計システムといったものがインボイス制度に対応していない場合は、見直しや変更を行わなければなりません。

インボイス制度が建設業界に与える影響

インボイス制度が建設業界に与える影響は大きいと考えられます。これには、以下4つのような理由があります。

免税事業者から課税事業者への登録が増える

本来、課税売上高が1,000万円未満の事業者は免税事業者の扱いとなり、消費税の申告や納付といったものが免除されます。しかし、インボイスは課税事業者を対象とした制度であり、売り手側からするとインボイス非対称の免税事業者と取引をすると仕入れ税額控除を受けることができません。

 

売り手側からすると依頼が減ってしまう可能性があるため、任意で課税事業者へ変更するケースが増えます。建築業界の一人親方は免税事業者であるケースが多いといえますが、課税事業者へ変更することで免税事業者であれば支払わなくて良かった消費税を納税しなければなりません

免税事業者の取引減少や値引きが懸念される

課税事業者になることなく、免税事業者で居続けることも可能です。しかし、紹介したように免税事業者との取引では仕入れ税額控除が受けられないため、取引が減少したり、値引き交渉されたりする恐れがあります。

偽装請負問題の改善に期待できる

建設業界の一人親方の中には、偽装請負状態になっている人がいます。これは、社員を従業員ではなく一人親方にすることで社会保険料の支払いを避けながらこれまでと同様の業務をさせるものです。

 

社員から個人事業主になれば社会保険だけではなく、残業代や福利厚生といった恩恵も受けられないので、一人親方にされた元社員にメリットはありません。
しかし、インボイス制度の開始により一人親方が免税事業者から課税事業者になると納付負担が増えることになります。法人からすると社員を一人親方にするデメリットも出てくることから、偽装請負問題の改善が期待できるでしょう。

会計業務の負担が増加する

インボイス制度に対応するためには、経理や税務、会計関連の実務全般で対応しなければならないことから、業務の負担が増加する恐れがあります。
特にインボイスに対応していない会計処理を導入している場合は注意が必要です。会計処理を担当する社員がいない小さな会社ほど負担は大きくなるでしょう。

建設業における請求書の具体的な書き方

インボイスとは適格請求書のことであり、現行の区分記載請求書で必要な基本項目にインボイス制度で追加が必要な項目を加えた請求書を作成しなければなりません。
請求書に決まったフォーマットはないのですが、基本項目と追加項目はどちらも入れなければならないので、確認しておきましょう。

請求書に記載する基本項目

建設業における請求書の基本項目として入れるべき内容は以下のものです。

  • 書類作成者の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
  • 請求書受領者の氏名または名称

これらは、消費税の仕入税額控除を受けるために必ず入れておかなければならないと定められています。
上記のほか、入金時に相手がスムーズに必要な情報を確認できるように、請求書番号と振込先の口座番号や振込手数料、支払期限も記載しておきましょう。

インボイス制度の対応で必要な追加項目

インボイス制度に対応する場合は、基本項目に加えて、以下の3つの追加項目が必要になります。

  • 登録番号
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込)および適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額など

登録番号はTから始まる13桁の番号で、あらかじめ適格請求書発行事業者の登録申請を行い、登録を受けることで発行されます。発行事業者名または商号とあわせて記載しましょう。

請求書を制作する方法

請求書を制作する方法は、大きく分けて手書き、請求書管理システム、エクセルやワードといった3種類です。それぞれの制作方法を紹介します。

手書き

パソコンを使った請求書制作ができない場合は、手書きでも対応可能です。請求書の作成方法には決まりはないので、手書きでも問題ありません。
ただし自動計算ができないので、複雑な計算ではミスも発生しやすい点に注意が必要です。

請求書管理システム

請求書管理システムを導入すると、システムで請求書の作成・管理ができます。
導入時に費用はかかりますが、インボイス対応の負担軽減につながるでしょう。

 

関連記事:建築業の見積作成に活用できるフリーソフト3選と有料ソフト3選

エクセルやワード

エクセルやワードのテンプレートを入手し、作成する方法もあります。
インボイスは原則7年間保管しなければならないので、管理方法を検討しておきましょう。

簡単建築見積ソフトなら「Kensuke Neo」

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これから建築見積ソフトを導入するのであれば、使いやすさにもこだわりたいところです。
簡単建築見積ソフト「建築見積りソフトKensuke Neo」は操作性に優れており、エクセルと似た感覚で使用できます。そのため、エクセルが使える方であれば直感的に操作できるでしょう。

 

覚えることが少なくて済むので、建築見積ソフトの導入に悩んでいる方にもぴったりです。機能が充実しているほか対応できる見積書式もさまざまで、カスタマイズも作成いたします。

 

建築見積ソフト「Kensuke Neo」の導入事例

実際に建築見積ソフト「Kensuke Neo」の導入事例を3つ紹介していきます。

株式会社山上組様の導入事例

株式会社山上組様の導入事例

積算の効率化を課題としていた株式会社山上組様では、短時間で積算ができて使いやすいシステムの導入を検討していました。PC上で積算を行えるシステムを導入したいとのことで「Kensuke Neo」をご利用いただいたところ、操作が簡単ですぐに操作の習得ができたとのことです。

 

柔軟性の高いシステムであることや、導入後のアフターサポートが充実していることなども評価いただいています。手作業で行っていた積算よりも5~10倍の効率化につながりました。

株式会社山上組様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

株式会社ナカシロ様の導入事例

株式会社ナカシロ様の導入事例

「Kensuke Neo」で用意している無料デモを利用した上で導入を決断いただいたのが、株式会社ナカシロ様です。
実際の使い勝手などは使用してみなければわかりません。無料デモ期間中に、実際に3つほど実物件でご利用いただいたとのことです。

 

その結果、簡単に操作を覚えることができました。手作業要らずで積算できるソフトの導入を検討していたことや、実際に使ってみて簡単で誰でも操作しやすいことなどに納得いただき、ご利用いただいています。

株式会社ナカシロ様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

石坂建設株式会社様の導入事例

石坂建設株式会社様の導入事例

手作業で各種積算を行うのには時間がかかってしまいます。石坂建設株式会社様も手作業で各種積算を行っていたため、作業に時間がかかり、その他の業務に支障が出てしまうことがありました。

 

そこで、短時間での積算につなげるために導入いただいたのが「Kensuke Neo」です。手作業で行っていた積算作業と比較して5倍ほどを効率が上がったこと、見積提出に余裕ができた分、内容を吟味した見積作成ができるようになったことなどを評価していただいています。

石坂建設株式会社様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

【導入事例をもっと見る

 

建設業者もインボイス対応が必要

いかがだったでしょうか。インボイス制度が建設業者に与える影響や、おさえておきたい請求書の書き方を紹介しました。
建設業者もインボイスにしっかり対応していかなければなりません。

 

インボイス制度の開始に伴い、建築見積ソフト「建築見積りソフトKensuke Neo」にも「登録番号」と「軽減税率」の入力項目を追加しています。会社情報登録画面に設定すれば請求書出力時に反映されるので毎回入力する手間もありません。
インボイス対応の手間を抑えるためにもご利用ください。

建設業向け管理ソフトなら株式会社アドバン

 

【アドバンが提供するサービス一覧】

この記事の監修者
株式会社アドバン
田中 博幸

株式会社アドバン代表取締役社長

「建設関連ソフトを通して世の中に貢献する」がモットーです。 創業から20年以上、重要な業務である積算や見積書作成などの効率化・高精度化に貢献したいとの思いで、建設業に特化したシステムの開発に取り組んできました。
すべてのソフトで無料で使用評価をいただくことが可能であり、ほとんどのお客様に十分納得をいただいたうえで、システムを導入していただいています。