公開日 2024.12.23 更新日 2025.01.16

電子帳簿保存法とは?建設業へのメリットや対象書類も解説

電子帳簿保存法は、帳簿や取引書類を電子データで管理するためのルールを定めた法律です。

2024年1月より電子取引のデータ保存が完全義務化されたことにより、早急な対応が求められています。

この記事では、建設業にも深く関わる、電子帳簿保存法について解説します。

建設業へのメリットや対象となる書類もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

建設業にも影響する電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、保存が義務付けられている帳簿や書類を、電子データで保存することを認めた法律です。

2023年の税制改正により、2024年1月から電子取引のデータ保存が完全義務化されました。

建設業においては、請求書や領収書、契約書など、日常的に扱う多くの書類が対象となります。保存方法なども明確に定められており、保存要件に沿った対応が求められています。

ペーパーレス化によるコスト削減や生産性の向上といったメリットが得られる一方で、システム導入や従業員への運用指導といった、初期コストと労力が必要です。

これらを見越した計画的な導入が、建設業における電子帳簿保存法への対応策となるでしょう。

 

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電子帳簿保存法における3つの区分

電子帳簿保存法は、電子データによる保存を「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3種類に区分しています。

帳簿の作成方法や取引データの受け渡し方法に応じた、保存方法の区分を把握することが重要です。

電子帳簿等保存

電子帳簿等保存とは、「電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存」することです。

例えば、下記のようなケースは電子帳簿等保存に区分されます。

  • 会計ソフトなどを使用して作成した帳簿
  • パソコンなどで電子的に作成した決算関係書類や取引関係書類 など

2022年の改正法より、電子データによる保存の事前承認が不要となりました。

さらに、「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」が整備されたことで、申告漏れに課される過少申告加算税が5%軽減されます。優良な電子帳簿の要件を満たしたうえで、届け出を出す必要があるので注意しましょう。

スキャナ保存

スキャナ保存とは、「紙で受領・作成した書類を画像データで保存」することです。

取引相手から受け取った紙の請求書や領収書を、スキャナやスマートフォンなどを使用して電子データとして保存します。スキャナ保存のルールである保存要件は、下記のとおりです。

  • 解像度200dpi相当以上で読み取ること
  • 帳簿との相互関連性の確保
  • 取引年⽉日や任意の記録項目などの検索機能の確保 など

相互関連性の確保のおいて、電子帳簿保存法の改正により、見積書・注文書・検収書といった一般書類は対象外となりました。契約書や領収書といった重要書類は、取引日などを記録して帳簿との相互関連を示す必要があります。

なお、スキャナ保存した原本は、破棄しても問題ありません。

電子取引

電子取引とは、「電子的に授受した取引情報をデータで保存」することです。

取引相手から電子メールで受け取った取引情報を、電子データのまま自社で保存します。

2024年1月からは書面での保存を認める「宥恕措置」が廃止され、保存要件を満たした形で電子データの保存することが義務付けられています。

  • 電子取引の保存要件は、主に以下の2つです。
  • 改ざん防止のための措置をとること

日付・金額・取引先で検索できるようにすること

表計算ソフトなどで牽引簿を作成し、保存要件を満たすための検索機能をもたせることも可能です。取引データに「日付・金額・取引先」を用いた規則的なファイル名を付ける方法もあります。

建設業で電子帳簿保存法の対象となる書類

ここでは建設業で電子帳簿保存法の対象となる書類を、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分に分けて紹介します。

電子帳簿等保存の対象書類

電子帳簿等保存の対象書類は、主に下記のとおりです。

  • 国税関係帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、売上帳、仕入帳など)
  • 決算関係書類(損益計算書、貸借対照表など)
  • 取引関係書類(見積書、請求書、納品書、領収書など)

パソコンなどで作成した帳簿や書類は、プリントアウトせずにそのまま電子データとして保存できます。手書きで作成した場合や、取引相手から紙で受領した書類は対象外です。

スキャナ保存の対象書類

スキャナ保存の対象書類は、主に下記のとおりです。

  • 契約書
  • 見積書
  • 注文書
  • 納品書
  • 検収書
  • 請求書
  • 領収書 など

※領収書は決算関係書類を除く国税関係書類

取引相手から紙で受け取った書類や、手書きで作成した取引関係書類などの写しが対象となります。

電子取引の対象書類

電子取引の対象書類は、主に下記のとおりです。

  • 注文書
  • 契約書
  • 送り状
  • 領収書
  • 見積書
  • 請求書 など

取引相手から注文書や契約書といった取引書類を電子データで受け取った場合に、そのまま保存します。電子メール・クラウドサービス・ EDIなど、すべての電子データが対象です。

なお、電子取引のデータにいつわりや隠ぺいがあった場合、申告漏れなどに課される重加算税が10%加重されます。

電子帳簿保存法の電子データ保存の要件

電子帳簿保存法では、電子取引データを適切に保存するための要件が定められています。電子データ保存において重要としているのが、「真実性」と「可視性」を確保することです。

真実性とは、取引データが改ざんされていないことを保証することで、システムによる訂正や削除の記録保持が求められます。一方、可視性は、保存されたデータを容易に検索・閲覧できる状態にすることを指し、取引年月日・取引金額・取引先名などの項目で検索できる機能が必要です。

電子帳簿保存法に則った電子データの保存を行うためは、保存要件を満たすシステムの導入や運用体制を整えることが重要といえます。

電子帳簿保存法の改正が建設業にもたらすメリット

電子帳簿保存法の改正により、紙媒体でのやり取りから電子データへの移行が進んでいます。この変化により、建設業界にもさまざまなメリットがもたらされています。

  • 印紙税にかかるコストを削減
  • ペーパーレス化によるメリットが得られる
  • データ管理の効率化を図れる
  • 生産性の向上が働き方改革につながる

ここでは、電子帳簿保存法の改正が建設業にもたらすメリットを解説します。

印紙税にかかるコストを削減

電子帳簿保存法の改正により電子データでの取引が普及し、紙の契約書や請求書に必要だった印紙税が不要となるケースが増えています。建設業は取引量が多いために印紙税の負担が大きく、電子取引の活用によってコスト削減による効果が期待できます。

さらに印紙税だけでなく、紙媒体の書類の印刷代や運送費用といった広範囲での経費削減が可能です。経費削減の観点からも、電子帳簿保存法の改正は建設業にとってメリットをもたらしているといえます。

ペーパーレス化によるメリットが得られる

電子帳簿保存法に基づくペーパーレス化は、建設業の業務効率化に大きく貢献します。紙の保管スペースが不要になるだけでなく、契約書や請求書の管理が容易になり、必要な書類を迅速に検索・閲覧できるようになります

さらに、図面データも電子化することで、常に最新の図面データをチームで共有することも可能です。現場とオフィス間での連携がスムーズになり、設計ミスや確認作業の手間を減らせます。

作業場所を問わずデータにアクセスできる環境を整えることで、テレワークの推進にも役立ちます。

データ管理の効率化を図れる

電子データ化により、建設業におけるデータ管理が飛躍的に効率化されます。従来の紙書類ではファイルに保管され、必要な情報を探すのに多くの時間がかかっていました。

電子帳簿保存法に対応したシステムを導入することで、取引先名や取引年月日、取引金額などから瞬時に検索できる環境が整います。また、データを一括管理することで、複数の担当者がリアルタイムで同じ情報を共有できるようになります。特に多拠点で事業を展開する建設会社にとって、大きな強みとなるでしょう。

生産性の向上が働き方改革につながる

電子帳簿保存法の改正は、働き方改革にも影響を与えています。データの電子化により、場所を問わずデータの閲覧や更新が可能となり、テレワークやリモートでの業務がしやすくなります。

建設業では、現場とオフィス間での情報共有が不可欠です。電子データの活用により、リアルタイムでの情報共有が可能になります。無駄な移動や手作業による業務が減ることで、労働時間の短縮や生産性の向上にも期待できるでしょう。

柔軟な働き方を取り入れることで、従業員のモチベーション向上や人材確保にも良い影響を与えます。

簡単建築見積ソフトなら「Kensuke Neo」

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「Kensuke Neo」は、建築業界で求められる見積作成のプロセスを大幅に簡素化する、画期的なソフトウェアです。エクセルのような直感的な操作性を持ち、導入にかかるコストや時間を削減できます。

リフォームや木造住宅の小規模工事から、鉄骨造やRC造などの大規模工事に至るまで、幅広い工事に対応。あらゆる規模のプロジェクトで活用可能です。

「Kensuke Neo」のもう一つの特徴は、見積作成の効率を劇的に向上させられる点。JW_CADとの連携により、データを瞬時に積算し、見積書の作成がスムーズにできます。これにより、積算から見積作成までのプロセスがシンプルになり、作業時間の短縮と二度手間の解消が実現されるでしょう。

従来のソフトに満足できなかった方にも、機能の充実度と使いやすさで新たな価値を提供してくれます。

 

建築見積ソフト「Kensuke Neo」の導入事例

「Kensuke Neo」は、簡便な操作性と高機能で、多くの建設業者に採用されています。ここでは、実際に「Kensuke Neo」を導入した企業の成功事例をご紹介します。

各社が抱えていた課題をどのように解決し、どのような効果が得られたのかを見ていきましょう。

株式会社山上組様の導入事例

株式会社山上組様の導入事例

奈良県奈良市に拠点を置く株式会社山上組様では、積算業務の効率化が喫緊の課題でした。従来の方法では作業時間がかかり、担当者も限られていたため業務が滞っていたとのこと。

「Kensuke Neo」を導入したことで、積算専任者がいなくても誰でも簡単に操作を習得でき、作業の迅速化が図られました。さらに、使い込むことでシステムの柔軟性や深い機能に気付き、より効率的な運用が可能となったようです。

株式会社山上組様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

株式会社ナカシロ様の導入事例

株式会社ナカシロ様の導入事例

愛知県名古屋市の株式会社ナカシロ様は、手作業でしていた積算業務に時間がかかり、業務効率の改善が求められていました。「Kensuke Neo」の導入により、システムの直感的な操作性が評価され、短期間で建築部員全員が操作を習得しました。

これにより、全員が積算業務に携わる体制が整い、業務効率が大幅に向上。実際の案件での利用においても、操作が簡単でありながらも精度の高い見積もりを作成できています。

株式会社ナカシロ様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

石坂建設株式会社様の導入事例

石坂建設株式会社様の導入事例

富山県富山市に本社を構える石坂建設株式会社様では、手作業での積算業務が負担となり、他の業務に支障をきたすことがありました。アドバン社の「Kensuke Neo」を導入してから約20年、その優れた積算・見積もりシステムによって、作業効率は従来の5倍以上に向上しました。

さらに、見積の作成に余裕が生まれたことで、内容の精査が可能となり、より精度の高い見積もりを提供できるようになったようです。今では、同社の積算業務において欠かせないツールとなっています。

石坂建設株式会社様の導入事例を詳しく見たい方はこちら

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まとめ

電子帳簿保存法の改正により、帳簿や書類の電子取引のデータ保存が義務化されました。

これを機にDXを推進し、データの電子化を図りたいと考える建設会社も増えてくるでしょう。

電子データによる保存には細かなルールが定められているため、電子帳簿保存法に対応したソフトの導入が求められます。

適切なシステムを導入し、運用体制を整えることで、業務効率化やコスト削減といったメリットを十分に引き出せるでしょう。

建設業向け管理ソフトなら株式会社アドバン

 

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この記事の監修者
株式会社アドバン
田中 博幸

株式会社アドバン代表取締役社長

「建設関連ソフトを通して世の中に貢献する」がモットーです。 創業から20年以上、重要な業務である積算や見積書作成などの効率化・高精度化に貢献したいとの思いで、建設業に特化したシステムの開発に取り組んできました。
すべてのソフトで無料で使用評価をいただくことが可能であり、ほとんどのお客様に十分納得をいただいたうえで、システムを導入していただいています。