積算ミスの原因とは?建設・建築業界でよくある例や対策方法を紹介
積算ミスとは、工事に必要な日数や材料や資材の数量計算を間違えることです。単なる計算ミスと思われがちですが、発生するとクライアントや取引先に多大な迷惑がかかります。訴訟に発展することもあるほど重大な問題であるため、積算ミスが起きないように、社内の体制を最適化しておく必要があります。
しかし、積算ミスによって起こる悪影響や不利益がイメージできない方も多いのではないでしょうか。この記事では、積算ミスが会社の経営に与える影響や間違いの原因、対策方法を解説していきます。積算の担当者や責任者は、ぜひ参考にしてください。
積算ミスとは?
建設・建築業界における積算とは、設計図や仕様書に沿って工事に必要な資材や人員の数を算出する業務です。積算の内容をもとに利益を計算し、見積書を作成します。
つまり積算ミスは、必要な資材や作業員の数を間違えることです。具体的には、単価や数量の誤入力、計算方法の誤り、設計図や仕様書の読み間違いなどがあげられます。
積算ミスは、プロジェクトの進行を妨げるだけでなく、企業の利益や信頼にも影響を及ぼします。とくに大型プロジェクトでは、小さな積算ミスが大きな損失につながるため、作業時は入念な確認が必要です。
建設・建築業界における積算ミスの影響
積算ミスが起こると、下記のような不都合が起こります。
● 企業の信頼を失う
● 利益率が変わる
● 追加費用が発生する
上記が起こると金銭的な損失が生まれるだけでなく、企業の成長を妨げるなど、経営に長期的な悪影響も及ぼすため注意が必要です。それぞれ詳しく解説します。
企業の信頼を失う
積算ミスが起こると、作業が一時的に中断する、見積もりの内容が覆るなど、取引先やクライアントに迷惑がかかります。契約前と話が変わると不信感を抱かれ、その後信頼を回復するのは難しいです。
コミュニケーションが取りづらくなり、作業が進めにくくなるのはもちろん、2度と依頼してもらえなくなるでしょう。また悪評が広まれば、取引先の新規開拓も難しくなります。小さな積算ミス1つでも、会社の経営状況が悪化する要因になります。
利益率が変わる
積算で必要な資材の量や人件費を間違えると、利益率が変わります。たとえば、必要以上の資材を発注してしまった場合、コストが増加して利益が圧迫されます。
誤った利益率をもとに見積もりを作ると、クライアントに必要以上の費用を請求することになるため、注意が必要です。また必要な資材を発注していない、量が足りないなどが起こると、作業が進められなくなります。
過大請求をする企業だと思われる、現場の作業が滞るなど、信頼を失う原因になるため、積算内容はよく確認しましょう。
追加費用が発生する
積算ミスにより資材不足が起こると、追加発注が必要です。緊急発注の場合、コストが割高になることもあり、利益率を圧迫する原因になります。
また、必要な人員の見積もりを間違えた際も同様です。人手が足りないと工期が遅れ、追加の人件費もかかります。
積算ミスは損害賠償や契約解除の原因になる
積算ミスは、取引先やクライアントに多大な迷惑をかけます。信頼を失い、最悪の場合法的なトラブルに発展するため注意が必要です。
たとえば、ミスが原因でプロジェクトが大幅に遅延した場合、取引先から損害賠償を請求されることがあります。建設物が完成していれば得られた売上を、遅延日数分失うことになるため、その分を自社で賠償することになるのです。
また、契約内容を履行できないと判断された場合、プロジェクト契約が解除されるリスクも生じます。長期的に取引する予定だったクライアントも、1つのミスで失うため、長期的に見ると大きな損害です。積算ミスを起こさないように、データ管理やチェック体制の強化を徹底しましょう。
建設・建築業界における積算ミスの原因
建設・建築業界でよくある積算ミスの原因は、下記の5つです。
● ヒューマンエラー
● 担当者の経験・知識不足
● 口頭指示
● 変更の伝達ミス
● 社内のチェックフローが未整備
積算ミスを防ぐには、原因を事前に把握したうえで、適切な対策を講じることが大切です。それぞれ詳しく解説していくため、理解しておきましょう。
ヒューマンエラー
人の手で積算を行う以上、計算や入力のミス、必要資材の見落としなどが起こり得ます。そのため、作業内容を簡略化したり、自動化ツールを導入したり、人が携わる部分を限りなく少なくするなどの工夫が必要です。
また作業が属人化しないように、担当者を複数配置し、ダブルチェックを行うのもおすすめです。どれだけ信頼できる人材でも、ミスをしないことはありません。ヒューマンエラーが必ず起こるものであることを理解したうえで、社内の作業体制を整備しましょう。
担当者の経験・知識不足
担当者に経験や知識が不足していると、ケアレスミスが多くなります。また、予期せぬ事態や作業の状況をイメージできないため、余裕のない積算を行ってしまい、後に追加費用が発生しやすくなります。
とくに新しく担当者を配置した場合は注意が必要です。前任者で問題が起きなかったからといって、新担当が同じ社内フローでスムーズに業務をこなせるとは限らないからです。
そのため、しばらくは上司が確認を徹底する、社内フローを見直すなどの工夫をする必要があります。また、定期的に研修を行い、社内全体の積算に関する知識を高めておくのも効果的です。
口頭指示
口頭での指示は情報の伝達が早く、便利なのですが、曖昧さや誤解を生むリスクも高いです。聞き間違いや解釈の不一致が起こりやすく、指示者の意図とは違う形で情報が伝わるおそれがあります。
また指示を出したつもりでも、相手が聞き取れていないこともあります。言った言わないの問題に発展し、責任の所在が曖昧になるのも口頭指示でよくあるトラブルです。
したがって資料を作成する、チャットツールでやりとりするなど、指示内容は文章で残すのが効果的です。履歴が残るため、後にトラブルが起きても対処しやすくなります。とくに指示内容が複雑なものは、必ず文書で残すようにしましょう。
変更の伝達ミス
プロジェクト進行中でも設計や仕様の変更はありえますが、当事者だけで話が完結し、積算の担当者まで話が伝わっていないことがよくあるのです。変更前の情報をもとに積算をしてしまい、現場からクレームが起こります。
トラブルを防ぐには、社内の情報共有フローを整備しておくことが大切です。積算システムで変更箇所や進捗を一元管理する、週次ミーティングを開催するなど、スムーズに情報共有できる体制を整えましょう。
社内のチェックフローが未整備
社内のチェック体制が煩雑だと、積算ミスが見逃されやすくなります。たとえば、チェック項目が明確に定義されていなかったり、確認作業が形式的になったりしている場合は注意が必要です。
高性能な積算システムを導入しても、入力するのは人間です。そのため、入力ミスなどのヒューマンエラーは必ず起こります。下記のような工夫をし、チェックフローを明確化しましょう。
● 積算の責任者を配置する
● 確認項目のチェックリストを作る
● ダブルチェックの体制を整える
● 現場の当事者に積算を確認してもらう
建設・建築業界でよくある積算ミス事例
建設・建築業界でよくある積算ミスは、下記の3つです。
● 単価の入力ミス
● 仕様の確認が甘い
● 数量の拾い忘れ
いずれもヒューマンエラーによって起こるミスなので、積算後に念入りに確認するのがおすすめです。それぞれ詳しく解説していきます。
単価の入力ミス
単価の入力ミスは、下記のような理由で起こります。
● プロジェクトによって同一品目の単価が異なる
● 過去のデータを流用する
● 積算担当者が単価を見間違える
担当者が積算に慣れてくれると、よく扱う資材の単価を覚えたり、過去に担当した類似案件の目星をつけやすくなったりします。記憶や古いデータに頼った結果、単価が更新されていることに気づかず、入力ミスにつながるのです。
入力ミスを防ぐには、過去のデータ参照を禁止する、単価データを一元管理するなど、最新の情報を把握しやすい環境作りが大切です。また、入力作業を自動化すれば、ヒューマンエラーのリスクも抑えられます。
仕様の確認が甘い
設計図面の見落としや、仕様書の詳細を十分に把握していないことで、積算の際に資材の過不足が起こります。とくにプロジェクトの規模が大きくなるほど、仕様が複雑になり、見落としやすくなるため注意が必要です。
防止には、下記の施策が有効です。
● 仕様書や設計図面のチェックリストを作る
● 複数人で確認する
● 情報共有の仕組みを作る
ただし上記を徹底しても、担当者全員が責任感を持って業務にあたらなければ、意味がありません。責任者を配置し、モチベーションや徹底度合いを管理しながら運用しましょう。
数量の拾い忘れ
数量の拾い忘れは、必要な資材の見積もりが甘いことで起こります。プロジェクトの規模が大きくなるほど、必要な資材の量も増え、間違えやすくなります。拾い忘れが発生すると工期の遅延や追加費用の発生につながるため、注意が必要です。
現場のスタッフや設計担当者とコミュニケーションを取り、資材ごとの必要数を確認すればミスを防げます。また、数量の確認フローを明確化し、誰が積算を担当してもミスが起こらないようにしましょう。
積算ミスの防止に効果的な対策
積算ミスの防止には、下記5つの対策が有効です。
● 積算ミスの原因を探る
● 社内のチェックフローを見直す
● 担当者向けの勉強会を開く
● スケジュールに余裕を持たせる
● 建設・建築業界向けの積算システムを導入する
ツールの導入や担当者のスキルを向上すれば、積算作業の質とスピードが向上するでしょう。それぞれ詳しく解説していきます。
積算ミスの原因を探る
積算ミスは、細心の注意を払っても必ず起こります。しかし発生ごとに原因を特定し、分析を行えば有効な対策を導き出せます。
たとえば、ヒューマンエラーが多い場合、積算システムを導入して業務を自動化する、ダブルチェックの体制を作るなどが有効です。特定の担当者にミスが集中している場合は、メンターをつけて教育や研修を行えば、スキルを向上させられます。
積算ミスの原因を明確にすることで、効率的かつ実践的な対策を講じられます。
社内のチェックフローを見直す
積算ミスは、チェック不足によって起こることが多いです。社内で確認フローを構築していても、穴がある、流れ作業になっているなどの理由で、煩雑になることはよくあります。
積算ミスが目立つ場合は、チェックフローを見直し、作業項目に過不足がないか確認しましょう。間違いが頻発している箇所に合わせて、チェックリストの内容を増やす、作業担当を明確にするなどの工夫をすれば積算ミスを減らせます。
担当者向けの勉強会を開く
担当者のスキル不足が原因の場合、勉強会を定期的に開くのが有効です。積算の基礎や業界の動向を学ぶ場を設ければ、知識が増え、業務の効率と精度の向上が期待できます。外部が開催している講習会などに参加させれば、他社の担当者とコミュニケーションが生まれ、ノウハウを共有できます。
また担当者にメンターをつけて、日常的に学びの機会を与えるのもおすすめです。身近な先輩の知恵を借りることで、能力も向上するでしょう。
スケジュールに余裕を持たせる
タイトなスケジュールは、担当者にプレッシャーを与えます。焦りから作業が煩雑になったり、十分な確認時間が取れなかったりと、積算ミスの原因が生まれやすくなります。
そのため、プロジェクトの進行には十分な期間を確保することが大切です。急な仕様変更にも余裕を持って対応できるため、積算ミスのリスクが低減します。クライアントの都合を考慮しながら、最大限余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
建設・建築業界向けの積算システムを導入する
建設・建築業界向けの積算システムを導入すれば、資材や人件費などを一元管理できます。高機能なものは、資材の数量に応じて単価を自動入力する仕組みなども備わっているため、ヒューマンエラーの低減も可能です。
また、プロジェクト単位のデータやスケジュールも管理できることから、業務効率が向上します。導入には一定のコストがかかりますが、ミスによる機会損失や信用の低下のリスクを減らせます。長期的にプラスになることが多いため、利用するのがおすすめです。
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また、見積書作成に特化した豊富な機能を備えており、案件ごとの詳細な見積からコスト管理まで幅広くサポート。クラウドベースのため、リアルタイムでの情報共有が可能で、効率的な業務運営に貢献します。
建築見積ソフト「Kensuke NEO」の導入事例
ここでは、建築見積ソフト「Kensuke NEO」を導入した企業の事例について見てみましょう。
株式会社山上組様の導入事例
山上組様では、積算作業の効率化と属人化が課題でした。Kensuke NEOを導入した結果、誰でも短期間で習得可能な操作性と、柔軟なシステムの使いやすさに驚きました。
導入後は手作業に比べて5〜10倍の効率化を実現し、アフターサポートの充実も高く評価されています。
株式会社ナカシロ様の導入事例
ナカシロ様は、積算業務の手間を軽減するためにKensuke NEOを導入しました。2ヶ月間の試用期間中に、実物件を使用してソフトをテストし、操作方法をマスター。
建築部員の全員が操作できる体制を整えています。
石坂建設株式会社様の導入事例
石坂建設様では、従来の手作業による積算が業務に支障をきたしていました。Kensuke NEOの導入により、作業効率が大幅に向上し、見積の作成に十分な余裕が生まれました。
導入以来、効率的な積算が可能となり、今では欠かせないツールとなっています。
積算ミスの防止には事前の対策が重要!
単価の入力漏れや計算間違いなどのヒューマンエラーは必ず起こるため、積算ミスを完全に防ぐことはできません。しかし、事前に原因やよくある失敗を把握しておけば、事前の対策は打てます。また、積算ミスが起きた際は、原因を分析すれば、発生のリスクを最小限に抑えられます。
確認フローを見直す、専門のシステムを導入するなど、課題に応じた対策を打つことが大切です。また適切に対策できれば、業務の効率や品質の向上も期待できます。
積算ミスは企業の信頼と利益に直結する問題です。この記事を参考に、トラブルを未然に防ぎましょう。
【アドバンが提供するサービス一覧】
- 建築見積ソフト「Kensuke Neo」
- 仕上積算ソフト「Neo仕上」
- 工事原価計算ソフト「Neo原価」
- RC躯体積算ソフト「松助くん」
- 作業日報管理ソフト「Neo日報」
- ワークフロー管理ソフト「ネオ ワーク」
株式会社アドバン代表取締役社長
「建設関連ソフトを通して世の中に貢献する」がモットーです。
創業から20年以上、重要な業務である積算や見積書作成などの効率化・高精度化に貢献したいとの思いで、建設業に特化したシステムの開発に取り組んできました。
すべてのソフトで無料で使用評価をいただくことが可能であり、ほとんどのお客様に十分納得をいただいたうえで、システムを導入していただいています。