公開日 2024.12.23 更新日 2025.01.16

建築・建設業のERPとは?導入するメリットやおすすめのソフトを紹介

建築・建設業は、プロジェクト管理や原価管理、現場の進捗管理など、業界特有のタスクが多いです。プロジェクトの規模に比例して管理も複雑になり、管理不足によるトラブルのリスクも上がります。そこで、煩雑な業務を一元管理できるERPシステムを導入する企業が増えています。

しかし、ERPシステムにはさまざまな種類があるため、選び方に迷っている方も多いのではないでしょうか。導入の際は自社の課題に合わせてソフトを選定することが大切です。

この記事では、建築・建設業におけるERPシステムの概要や種類、導入時の注意点を解説しています。

管理の精度を向上させたい、スタッフの負担を軽減したいなどの考えがある方は、ぜひ参考にしてください。

建築・建設業におけるERPシステムとは?

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、業務を統合的に管理し、効率化を図るためのシステムです。建築・建設業で導入すると、プロジェクトや原価、資材、労務など、業界特有の複雑な業務を一元管理できます。

また、ERPシステムを導入すると、リアルタイムで状況を把握できるようになります。建築・建設業は、複数の現場を同時に運営したり、天候や資材供給の影響を受けたりしやすい業界です。

ERPシステムを活用すれば、管理不足によるトラブルを未然に防げるため、作業計画の遅延防止や運営の最適化につながります。生産性や企業の信頼性の向上など、さまざまなメリットが得られます。

 

参考記事:建築業の見積作成に活用できるフリーソフト4選と有料ソフト12選

建築・建設業向けのERPシステムでできること

建築・建設業向けのERPシステムでは、下記のような業務を効率化できます。

  • 販売・営業管理
  • 会計・財務管理
  • 原価・在庫管理
  • 人事・給与管理

うまく活用すれば、現場と社内両方の生産性向上につながります。それぞれ詳しく解説します。

販売・営業管理

ERPシステムを導入すると、案件の進捗状況や過去の取引履歴を簡単に確認でき、現場や営業チーム間での情報共有もスムーズになります。

また、見積もり作成や請求書の発行も自動化可能です。営業スタッフが自分で書類を用意できるようになるため、クライアントを待たせることがなくなり、経理部の負担も軽減します。

会計・財務管理

建築・建設業では、複数のプロジェクトを同時に運営するケースが多く、それぞれの収支状況を正確に把握する必要があります。ERPシステムを使えば、予算管理や経費精算、支払いスケジュールを一元管理できるため、プロジェクトごとの状況把握が容易になります。データも分かりやすく整理され、必要な情報を遅延なく抽出可能です。

また、税務関連の業務も自動化できるため、法律の改正にも迅速に対処しやすくなります。入力ミスなどのヒューマンエラーも起こりにくくなり、経理部の負担を軽減できます。

原価・在庫管理

建築・建設業では資材を多く扱います。発注ミスが利益率の低下や作業の遅延を引き起こす要因になるため、原価や在庫の管理を徹底することが大切です。

ERPシステムを使えば、資材や設備の在庫状況をリアルタイムで把握できるため、過不足の防止や適切価格での発注が可能になります。また、プロジェクトごとの原価を細かく追跡することも可能です。コスト超過を未然に防げ、常に最適な利益率で企画を立案できます。

人事・給与管理

ERPシステムには、従業員の勤怠管理や給与計算を自動化する機能がついているものもあります。建築・建設業では、正社員や期間工、日雇いのスタッフなど、さまざまな雇用形態の人材が関わります。

そのため、プロジェクトごとに個別の勤務状況を細かく記録し、管理することが重要です。ERPシステムを使えば、従業員の雇用形態から、勤務状況、作業時間の集計がリアルタイムで行えます。給与の法定控除や残業代の残業代の計算も自動化できるため、労務トラブルも避けられるでしょう。

建築・建設業でERPシステムを導入するメリット

建築・建設業でERPシステムを導入すると、下記5つのメリットが得られます。

  • プロジェクトを管理しやすくなる
  • 業務効率が向上する
  • 的確な経営判断がしやすくなる
  • 決算時の経理の負担を軽減できる
  • チームの統制が取りやすくなる
  • それぞれ詳しく解説します。

プロジェクトを管理しやすくなる

建築・建設業は、複数のプロジェクトを同時進行で運営することが多く、それぞれの進捗や予算を正確に把握する必要があります。ERPシステムを導入すると、プロジェクトごとに情報を一元管理できるため、進捗状況の確認が容易になります。予算超過やスケジュール遅延のリスクを軽減し、効率的なプロジェクト運営が実現するでしょう。

業務効率が向上する

ERPシステムを導入すると、多くの業務を自動化できます。データ入力や書類作成の手間が削減されるため、作業スピードを向上させられます。入力ミスなどのヒューマンエラーが起こる確率が下がり、トラブルの発生を防ぐことも可能です。

また紙の書類をデジタル化すれば、情報共有のスピードが上がり、部署間のコミュニケーションも取りやすくなります。

的確な経営判断がしやすくなる

ERPシステムを使うと、経営データをリアルタイムで可視化できます。売上状況、原価分析、在庫状況などのデータを確認しやすくなり、迅速な意思決定が可能です。たとえば、資源配分やリスク管理の効率化につながり、経営判断がブレづらくなります。

建築・建設業界は、市場環境が変化しやすい業界です。ERPシステムで的確な判断を下せる仕組みを作っておけば、長期的に安定した経営を行えるでしょう。

決算時の経理の負担を軽減できる

建築・建設業界は、プロジェクトごとに複雑な経理処理が求められるため、経理部の負担が大きいです。中でも決算シーズンは、負担が激増し、疲弊するスタッフも多いです。

ERPシステムでは、下記のような会計処理を自動化できます。

  • 取引データの集計
  • 帳簿の自動作成
  • 経費精算
  • 税務処理

経理部の負担を減らし、入力ミスなどのヒューマンエラーも低減可能です。業務を効率化しつつ、作業の精度を向上できるでしょう。

チームの統制が取りやすくなる

ERPシステムの中には、コミュニケーションツールと連携できるものがあります。スタッフ同士のコミュニケーションが活発化し、業務を統制しやすくなります。

またERPシステムを使えば、進捗状況や勤務状況をWeb上で確認可能です。当事者全員がリアルタイムで状況を把握できるため、無駄なコミュニケーションが不要になります。作業の抜け漏れを防げる、人手が足りていない現場のフォローが人足になるなど、さまざまなメリットが得られます。

建築・建設業のERPシステムの種類

建築・建設業で使われるERPシステムは、下記2つに大別されます。

  • 汎用型
  • 特化型

それぞれに特徴や対応できる業務の範囲が異なるため、自社のニーズに合わせて選択することが重要です。それぞれ詳しく解説します。

汎用型

汎用型のERPシステムは、幅広い業界や業務に対応できる汎用性の高いシステムです。基本的な会計管理や在庫管理、人事管理などの機能が標準装備されており、あらゆる業種で使用可能な設計になっています。

多領域の業務をまとめて管理したい、他業種との取引が多いなどの課題にある企業に、汎用型は有用です。また、1つのソフトでさまざまな業務をカバーできるため、導入・運用コストを抑えたい方にも適しています。

ただし、建築・建設業特有のニーズへの対応が限定的な場合があります。必要に応じてカスタマイズや追加ソフトの導入が求められるため、注意しましょう。

特化型

特化型のERPシステムは、建築・建設業界向けに設計されたシステムです。プロジェクトや原価、資材調達の管理など、業界特有の機能が標準装備されています。プロジェクトごとの収益性を追跡したり、現場の進捗状況をリアルタイムで把握できたりなど、高度な機能を有しているソフトもあります。

特化型のメリットは、業務フローに最適なシステムを導入できる点です。ただし、導入や運用コストが高くなる傾向があるため、自社の予算や規模に応じてツールを選びましょう。

建築・建設業界でERPシステムの導入を検討するときの注意点

ERPシステムを導入する際は、下記4つの点に注意しましょう。

  • 変更対応が簡単にできるか
  • 変更対応が簡単にできるか
  • 自社の業態に合っているか
  • システムがオンプレミスかクラウドか

自社の課題を解決する機能を搭載していて、長期的に活用できるシステムを選ぶことが重要です。それぞれ詳しく解説します。

建築・建設業界特有のタスクに対応しているか

建築・建設業界には、プロジェクトごとの原価管理や、現場の進捗管理など、特有の業務があります。そのため、ERPシステムが自社の課題に応じた機能を持っているかどうかを確認することが重要です。

たとえば、大規模なプロジェクトを担当する場合、進捗管理や現場と本社の情報共有を促進する機能があると、業務効率化に大きく貢献します。選定時には、自社の課題を明確にしたうえで、解決できる機能が標準搭載されているシステムを優先的に検討しましょう。

変更対応が簡単にできるか

建築・建設業界では、プロジェクトの状況や市場の変化に応じて、業務内容が頻繁に変わることがあります。そのため、ERPシステムが変更に柔軟に対応できるかどうかも、重要な選定基準です。

また、ベンダーのサポート体制も確認しましょう。急な業務変更にも迅速に対応できるため、システムを長く使えます。

自社の業態に合っているか

最適なERPシステムは、自社の業態や規模によって異なります。たとえば、大規模プロジェクトを多数扱う企業には、管理機能が充実しているシステムが適しています。一方で中小規模の建設業者には、シンプルでコスト効率のよいシステムがおすすめです。

また、将来的な事業拡大や業務内容の変化を見越して、拡張性のあるソフトを選ぶことも重要です。長期的に活用できるシステムを導入すれば、追加費用の発生を防げます。

システムがオンプレミスかクラウドか

ERPシステムには、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。それぞれの特徴を表にまとめました。

オンプレミス型 

PCなどのデバイスにインストールして利用する 

クラウド型 

インストール不要でインターネットを介して利用する 

オンプレミス型は、自社のデバイスにインストールして使うため、セキュリティが強力です。一方で、リアルタイムでの情報共有はできず、利用の際はソフトがインストールしてあるデバイスを立ち上げる必要があります。

クラウド型はインターネット環境があれば、どのデバイスからでも利用できます。利便性が高く、現場でも利用しやすいのが特徴です。初期費用も安いため、新規でERPソフトを導入する際はクラウド型がおすすめです。

建築・建設業界におすすめのERPシステム6選

自社に適したERPシステムを導入すれば、業務効率化や経営判断の精度を向上できます。以下では、建築・建設業界でおすすめの6つのERPシステムを紹介します。

  • アドバンNeoシリーズ
  • GRANDIT
  • ガリバーシリーズ
  • GLOVIA smart建設
  • PROCES.S
  • EXPLANNER/C

アドバンNeoシリーズ

建設業界に特化したクラウド型のERPシステムで、見積から工事原価管理、実行予算管理までを一元管理できる点が特徴です。とくに、複雑なプロジェクト管理をシンプルにし、業務効率を高める機能が充実しています。

使いやすいインターフェースと豊富なカスタマイズ性を備えており、企業の規模や業務内容に応じて柔軟に対応可能です。導入サポートが手厚いため、初めてERPを導入する企業でも安心して利用できます。

出典:建設業向け管理ソフトなら株式会社アドバン

GRANDIT

幅広い業界で導入実績を持つクラウド型のERPシステムで、建築・建設業界にも対応しています。高度なプロジェクト管理機能と財務管理機能を統合することで、複数拠点でのスムーズなデータ共有を可能にしています。

また、アドオンやテンプレートが豊富で、導入後のカスタマイズも容易です。目的や課題に合わせて仕様を変えられるため、長期的に使えるでしょう。

出典:ERPコンソーシアム GRANDIT公式サイト

ガリバーシリーズ

建設業界特化型のERPで、とくに工事原価管理に強みを持っています。複雑な原価計算を簡単な操作で行えたり、プロジェクトの収益性をリアルタイムで把握したりできます。

さらに、法改正や業界動向に基づいたアップデートが頻繁に行われるため、常に最新の状態での運用が可能です。導入後のサポートも充実しており、安心して利用できるシステムです。

出典:建設・工事ソリューション「ガリバーシリーズ」

GLOVIA smart建設

富士通が提供する建築・建設業向けのERPシステムです。多彩な機能を備えており、とくに複数プロジェクトの進捗やコストを統合的に管理するのに適しています。

カスタマイズ性が高く、企業の規模や業務内容に合わせて柔軟にシステムを構築できる点も魅力的です。導入前に要件を伝えることで、自社に最適な仕様を作れます。また、クラウド型のシステムであるため、外出先や現場からでもデータにアクセスできる利便性も備えています。

出典:FUJITSU Enterprise Application GLOVIA smart 建設

PROCES.S

建設業界向けの専門的なERPシステムで、効率的な原価管理と進捗管理を実現します。操作性の高さを売りにしており、現場スタッフでも簡単に使用できる点が魅力です。

また、AIやIoTを活用した高度な分析機能を搭載しており、経営判断に必要なデータを迅速に作成します。事業全体の効率化と収益性の向上はもちろん、事業の拡大にも貢献するERPシステムです。

出典:建設業ERPシステムPROCES.S(プロセス)クラウド対応ERP

EXPLANNER/C

NECが提供するERPシステムで、建設業界に特化した機能が充実しています。とくに、工事進捗管理や原価計算に優れた性能を発揮し、大規模プロジェクトの管理に最適です。

またシステムの拡張性が高いため、企業の成長に合わせて柔軟に仕様を変えられます。オンプレミス型とクラウド型の両方に対応しているため、企業のニーズに応じて選択できる点も魅力です。

出典:EXPLANNER/C | NECソリューションイノベータ

ERPシステムを導入して業務効率化を図ろう!

建築・建設業界でERPシステムを活用することで、プロジェクト管理や原価管理、会計業務などを一元管理できます。煩雑な業務を効率化できるため、生産性の向上やヒューマンエラーの削減など、さまざまなメリットが得られます。

またクラウド型のシステムを挿入すれば、リアルタイムでのデータ共有や情報分析も可能です。現場と社内のコミュニケーションがスムーズになり、迅速で的確な経営判断ができるようになります。

ERPシステムを導入する際は、自社の業態や規模に適したソフトを選ぶことが重要です。課題に合わせて選ぶことで、効果を最大化できます。ベンダーのサポート体制やシステム提供形態、カスタマイズ性などにも注目し、自社に合ったものを選定しましょう。

建設業向け管理ソフトなら株式会社アドバン

 

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この記事の監修者
株式会社アドバン
田中 博幸

株式会社アドバン代表取締役社長

「建設関連ソフトを通して世の中に貢献する」がモットーです。 創業から20年以上、重要な業務である積算や見積書作成などの効率化・高精度化に貢献したいとの思いで、建設業に特化したシステムの開発に取り組んできました。
すべてのソフトで無料で使用評価をいただくことが可能であり、ほとんどのお客様に十分納得をいただいたうえで、システムを導入していただいています。